ONCE ダブリンの街角で

2006年作品
監督 ジョン・カーニー 出演 グレン・ハンサード、マルケタ・イルグロヴァ
(あらすじ)
アイルランドのダブリン。男(グレン・ハンサード)は、穴の開いたギターを片手に毎日のように街角で歌を歌って生計を立てていた。ある晩、そんな彼の前に一人の若い女性(マルケタ・イルグロヴァ)が現われ、ふとしたきっかけから、彼女がいつも無料で弾かせてもらっているという楽器店のピアノを借り、二人で彼の歌をデュエットすることになる….


邦題がちょっと気になったけど、アイルランドを舞台にした音楽映画ということで。

たまたま街中で知り合った男女が、お互いの音楽的才能に惹かれあって意気投合し、次第に愛し合うようになるものの、ある重大な問題が支障となり、結局、別れてしまう。しかも、作中では男女の名前は不明のままであり、クレジット上もguyとgirlだけという、とても21世紀に制作されたとは思えない、何ともピュアな恋愛映画。

まあ、冷静になって考えてみれば、アイルランドというだけで貧困やテロを連想してしまうこっちの方がよっぽど20世紀的な訳であり、1990年代以降に飛躍的な経済成長を達成し、今やEUにも参加しているアイルランドにとっては、ここで描かれているような生活こそがまさに現実なんだろう。

主演の二人はともにプロのミュージシャンであり、グレン・ハンサードはアイルランドの人気バンド「ザ・フレイムス」(=知りません。)の主要メンバー。見ているときは判らなかったけど、なんと、彼は本作を見るにあたっての主要な動機の一つであった「ザ・コミットメンツ (1991年)」にも出演していたんだね。

一方のマルケタ・イルグロヴァはチェコのシンガーソングライターであり、公開当時18歳! まあ、俺には外人さんの年齢はよく判らないし、本作の役柄のせいもあるのかも知れないんだが、それにしてもあちらの18歳はしっかりしているというか、正直、フケているんだなあ。

ということで、邦題から薄々感じ取られた悪い予感が見事に的中してしまったっていう感じの作品だった。まあ、作中で披露される曲目はそれぞれそれなりに魅力的ではあるし、作品自体も決して後味が悪いようなものではないんで、見て損をしたっていう程ではないんだけどね。