スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師

2007年作品
監督 ティム・バートン 出演 ジョニー・デップ、ヘレナ・ボナム=カーター
(あらすじ)
19世紀のロンドンで理髪店を営んでいたベンジャミン・バーカー(ジョニー・デップ)は、彼の妻に横恋慕したターピン判事の陰謀で無実の罪を着せられ、投獄されてしまう。それから15年後、出獄した彼はスウィーニー・トッドと名前を変え、パイ店の店主ミセス・ラヴェット(ヘレナ・ボナム=カーター)の協力を得て、ターピン判事への復讐を始める….


娘がR-15に引っかかってしまったため、劇場公開時に見に行けなかった作品。ようやくDVD化されたので、夕食後、家族全員で鑑賞。

トニー賞に輝くブロードウェイ・ミュージカルの映画化ということで、ストーリーは十分に練られており、皮肉な結末のラストも含めてとても面白いお話しだと思う。

問題は、そのお話しを非常に丁寧に映像化しているところであり、スウィーニー・トッドが切れ味抜群の剃刀で、次々とお客のノドを切り裂いていく様子をリアルに見せてくれるほか、被害者の死体がミセス・ラヴェットの販売するパイの原料である挽き肉になるところもきちんと映像化されている。

まあ、ティム・バートンの性格からして、本作の“趣味の悪さ”はある程度予想されたところではあるが、ミセス・ラヴェットの空想シーンを除き、最初から最後まで画面全体が陰惨なイメージで塗りつぶされており、やはりジョニー・デップと組んだ首切りホラー映画の「スリーピー・ホロウ(1999年)」なんかと比較してもあまりに救いがない。そのため、正直、見続けるのが楽しくないというより、むしろちょっと辛かったです。

主演のジョニー・デップは、課題と思われた歌の方は、まあ無難にこなしていたものの、冷酷な殺人鬼を熱演するあまり、いつもの持ち味である彼独特の“シャイな雰囲気”まで封印してしまったのは、ちょっと残念。相手役のヘレナ・ボナム=カーターも、「眺めのいい部屋 (1986年)」の頃はとても可愛かったのに、最近はこんな役ばっかりというのはやはり付き合っている男が悪いせいだろう。

ということで、ジョニー・デップの大ファンである妻と娘の反応もあまり芳しいものではなく、「映画館で見なくて正解だったね」というのが我が家の結論。しかし、こんなお話しをミュージカルにするなんて、昨今のブロードウェイの“趣味の悪さ”はちょっと凄いなあ。