近代絵画史(上・下)

「名画を見る眼」に引き続き高階秀爾の本を読了。

ゴヤからモンドリアンまで”という副題が示すとおり、19世紀初頭から第二次世界大戦までのおよそ150年間に及ぶ西欧絵画の歴史が紹介されている。内容的に「名画を見る眼」とダブるところも少なくないが、同じ本を何度も読み直すより、似たような内容の本を何冊か読むのというのが俺の流儀であり、まったく問題ない。

この本では、印象派写実主義の最終形態として位置づけ、その克服の形として象徴主義シュルレアリスム等々を紹介しているのが面白い。一般的にゴーギャンゴッホ等は後期印象派として、印象派の延長線上に分類されていると思っていたが、ここでは写実を否定して理性(主観)を優先させた彼等を“反印象派”と捉えている。

ということで、いつものことながらこの作者の書く文章はとても美しく、解り易く、かつ、ためになる。同じ中公新書から「フィレンツェ」という本も出ているようなので、今度はそっちを読んでみよう。