過去を逃れて

1947年作品
監督 ジャック・ターナー 出演 ロバート・ミッチャム、ジェーン・グリア
(あらすじ)
ジェフ(ロバート・ミッチャム)は、名前を変えてタホの片田舎でガソリンスタンドを経営しながら静かな生活を送っていた。ある日、そんな彼のもとへ昔の知り合いが訪ねてくる。実は、ジェフは元私立探偵であり、ギャングのボスから大金を奪って逃げ出したキャシー(ジェーン・グリア)という女性を連れ戻すとの依頼を受けていたのだった….


いわゆるフィルム・ノワールに属する作品であり、一部で高い評価を得ているらしい。

俺自身、見るのはこれが初めてだった訳だが、ストーリーはちょっと複雑。しかも、安物のDVDで見たために字幕がちょっと不親切というかいま一つ信頼しかねるといった事情もあって、初回はストーリーを追うのだけでも結構大変。しかし、二転三転するストーリー展開には最後まで目が離せず、確かになかなか良く出来た作品だと思う。

主演のロバート・ミッチャムは、俺が今までに見た彼の出演作の中ではこれが最も初め頃の作品ということもあって、流石に若い。そのため、タフな私立探偵役としてはちょっと頼りない感じもあるんだけれど、逆にそんなところが惚れた女に振り回されるという本作の役どころにはピッタリで、この役をボギーなんかが演っていたら相当印象の違った作品になっていたことだろう。

一方の悪女キャシーに扮するジェーン・グリアのほうはあまり名前を聞いたことがない女優さんで、ネットで彼女の出演作を調べてみても俺がかろうじて見た記憶があるのは「ゼンダ城の虜(1952年)」くらい。確かに、美人だけどやや華やかさに欠けるところがあり、そんなあたりがハリウッドではあまり評価されなかったのかもしれない。本作でも、最初の登場シーンでは“わぁー、美人だなあ”って思うんだけど、その感動が持続しないあたりが問題なんでしょう。

ということで、「チャンピオン(1949年)」で主役を張る寸前のカーク・ダグラスなんかも出演しており、そんな意味でもなかなか貴重な作品。今回でストーリーの大筋は把握できたので、次回はもっとマッタリと作品の雰囲気を楽しみながら見られることと思います。