フェルマーの最終定理

文系の俺としては、常々理数系に対するコンプレックスを持っており、時々科学エッセイなんかを読んでは我が身を慰めている。

そんな訳で、フェルマーの最終定理に関してもアシモフの本かなんかで読んだ憶えがあり、一応どんなものかは理解していたものの、それが整数(=正しくは自然数)に拘っているあたりにちょっと前近代的という印象を持っていて、個人的には“所詮は時代遅れの数学パズル”といったイメージだった。だって、整数(例えば1)と小数(例えば0.1)の違いなんて、100と10(両方とも整数)の違いとほとんど一緒であり、整数に拘るなんて全然意味無いじゃないか!

この本を読んでみて、そんな俺の印象が全く誤っており、フェルマーの最終定理は最新の数学理論と密接な関係を有していることがわかった(ような気になった)が、その数学的な内容については全体の3分の1を過ぎたあたりから完全に理解不能でイメージすらできない。まあ、それが当たり前なんだろうけど、こういうのが理解できる人ってなんか純粋に“頭いい人”っていう感じがして、限りなく羨ましい。(しかも、それが必ずしも人生の幸福には繋がらないっていうあたりが何とも堪らない・・・)

ということで、フェルマーの最終定理の証明に当たり何人かの日本人が大きな役割を果たしていることをこの本で知り、正直、ちょっと嬉しかった。愛国者の方々も、昔の歴史について不毛な議論を蒸し返すよりも、こういった人達の業績を積極的に紹介したほうがよっぽど愛国心の布教に役立つんじゃないのかなあ。