ローズ・イン・タイドランド

2005年作品
監督 テリー・ギリアム 出演 ジョデル・フェルランド、ジェフ・ブリッジス
(あらすじ)
母親を麻薬のショック死で失ったジェライザ=ローズ(ジョデル・フェルランド)は、父親のノア(ジェフ・ブリッジス)と一緒に逃げるように彼の故郷へと旅立つ。しかし、彼が子供の頃に住んでいたという家は、一面に雑草の生い茂った荒れ地の中の一軒家で今や廃屋同然の有様。ローズはその荒れ地でデルとディキンズという不思議な姉弟と知り合いになるが….


テリー・ギリアム流「不思議の国のアリス」”っていうふれこみで見てみたんだけど、「アリス・イン・ワンダーランド」をモジったような邦題は実は日本のオリジナルで、原題はただの“Tideland(干潟)”。

確かに、ローズが「不思議の国のアリス」を愛読していたり、白ウザギならぬリスを追って狭い穴倉へっていうシーンもあるんだけど、チェシャ猫もマッドハッターも出てこない。怒ると怖いデルをハートの女王に見立てることも可能ではあるものの、ちょっとイメージが違うかなあっていう感じで、ストーリー的にアリスを連想させるようなところは無かった。

ただし、アリスと同様、ほとんど出っぱなし状態のジェライザ=ローズの孤軍奮闘ぶりは見ていてなかなか面白く、十分に楽しい作品に仕上がっている。こういった作品では、どうしても主人公の独白部分が多くなってしまうんだけど、それを補うために4体(個?)のバービー人形を登場させたアイディアも大成功。

ストーリーの方はあって無いようなもんだけど、ちゃんと“お話し”になっている分取っ付き易い。テリー・ギリアムらしい幻想的なイメージも出てくるけれど、全体的には割と控えめで、黄金色の大草原とかそこにポツンと建つ一軒家っていう風景の方がより印象的。まあ、彼の熱烈なファンには物足りないかもしれないけれど、俺にはこれくらいが丁度良い。

主演のジョデル・フェルランドは、公開当時10歳ということでアリスよりはちょっと年上。美少女というんではないけれど、コロコロと変わる表情がなかなか魅力的で見ていて飽きない。途中、ちょっとキワどいシーンも出てくるんだけど、あのへんはどのくらい理解して演じているのかねえ。娘を持つ親の身としては、ちょっと心配なところです。

ということで、テリー・ギリアムは評価の高い「未来世紀ブラジル(1985年)」が個人的にダメだったんで、ちょっと恐る恐るって感じで見てみたんだけど、これはとても面白かった。こうなると「ブラザーズ・グリム (2005年)」も気になるところであるが、こっちの評判はイマイチのようでどうしようか悩むところ。