失われた週末

1945年作品
監督 ビリー・ワイルダー 出演 レイ・ミランドジェーン・ワイマン
(あらすじ)
売れない小説家のドン・バーナム(レイ・ミランド)は、アルコール中毒の静養も兼ねて兄と故郷で週末を過ごすことに。しかし、どうしても酒を断つことができないドンは兄や恋人のヘレン(ジェーン・ワイマン)の目を盗んで酒場に行き、そこで酔い潰れてしまう。待合わせをすっぽかされた兄は怒って一人で故郷へ帰ってしまうが、残されたドンは地獄のような週末を過ごすことに….


「にがい米(1949年)」つながりでもう一本。あっちで主演していたドリス・ダウリングが重要な脇役で出ている。まあ、ビリー・ワイルダー初期の代表作の一つであり、題名とストーリーの概略くらいは昔から知っていたんだけど、相当悲惨そうなテーマの故、今日に至るまでちょっと敬遠していた次第。

アパートの窓枠の外に酒瓶がひもでぶら下げられているシーンから始まるんだけど、ちょっとユーモラスなのはここだけで、あとは全編ほとんど笑えない内容。主人公のドンは最初からというか、回想シーンの中で初めてヘレンと出会うところから既にアル中なんだよね。

まあ、将来を嘱望された文学青年だった彼が小説家として認められず、次第に酒に頼る生活に堕ちていったという経緯については同情の余地はあるんだけど、酒のためなら平気で嘘をつき、愛情やプライドまでも犠牲にしてしまうという現実のアル中生活は、やっぱり見ていて相当辛い。

そんな訳で、ドンは実の兄からも見捨てられてしまうんだけど、恋人のヘレンだけは決して諦めようとしない。そして、そんな恋人の愛情に支えられて彼が再びタイプライターに向かうところで話は終わるんだけど、あの後ドンが本当に立ち直れるかというと、まあ、ちょっと難しいのではないだろうか。

主演のレイ・ミランドはこの作品で立派な性格俳優になった訳であるが、まあ、中途半端な二枚目俳優で終わるよりはずっとマシだったと思う。一方のジェーン・ワイマンは意志堅固なヘレン役にはピッタリなんだけど、如何せん華がない。で、それを補うためドリス・ダウリングに白羽の矢が立ったのかどうかは知らないが、公開当時まだ23歳なのにかかわらず既にヨゴレ役。個人的には結構可愛いと思うんだけど、ハリウッド向きではなかったのかな。