刑事

1959年作品
監督 ピエトロ・ジェルミ 出演 ピエトロ・ジェルミクラウディア・カルディナーレ
(あらすじ)
ローマ市内のアパートで強盗事件が発生。イングラバロ警部(ピエトロ・ジェルミ)はそこの若い家政婦アッスンタ(クラウディア・カルディナーレ)の恋人を容疑者として逮捕するが、彼にはアリバイがあり釈放になる。その一週間後、同じアパートで今度は殺人事件が発生し、警察は両方の事件の関連を探りながら捜査の手を進めていく。しかし、犯人は意外なところに….


「にがい米(1949年)」を見ていたら、久しぶりにクラウディア・カルディナーレの顔を見たくなったので、20数年ぶりに本作を観賞。

それにしても、ピエトロ・ジェルミ扮するイングラバロ警部はとてもカッコいい。普段はいたってクールなんだけど意外にフェミニストな一面も持っており、弱い女を食い物にするような男には必殺の平手打ち! このビンタの仕方が大袈裟じゃないあたりがまた良くて、ハリウッド映画とは一味違ったハードボイルドぶりを堪能させてくれる。

お目当てのクラウディア・カルディナーレは、まだデビューしたてということもあり記憶していたよりも出番が少なかったが、少女の面影を残した表情はとても魅力的。でも、今回、前に見たときにはほとんど印象に残らなかった被害者役のエレオノーラ・ロッシ・ドラゴのほうにもつい目が行ってしまったのは、こっちが歳をとったせいなのかな。

さて、ストーリーのほうは途中から重要な登場人物が現れてくる等ちょっと複雑。金田一探偵風にこの事件のトリックを解説すると“前に起こった別の事件との関連を装った犯行”ということになるんだろうが、殺人事件の犯人が意識的にこのトリックを利用したのかどうかは疑問が残るところ。それと、アパートの鍵が事件解決のきっかけになるんだけど、このへんの事情が見ていて良く判らなかった。

しかし、そんな疑問に気を取られている間もなく、映画は感動のラストシーンへ。パトカーで連行される夫を追いかける新妻と、その姿を見てこみ上げてくる涙をサングラスで隠す男。前に見たときはああいう中年男性に憧れたもんだが、まあ、そこは若気の至りということで。

それと、最初の方にナヴォーナ広場がチラッと写ります。いや、だからって別にどーってこともないのですが。