犬神家の一族

2006年作品
監督 市川崑 出演 石坂浩二松嶋菜々子
(あらすじ)
信州の製薬王犬神佐兵衛が死亡し、莫大な遺産は彼の3人の孫のいずれか一人と結婚することを条件に、野々宮珠世(松嶋菜々子)に譲られることになった。この遺言の執行によってトラブルが生じることを恐れた弁護士秘書は、名探偵金田一耕助石坂浩二)を東京から呼び寄せるが、金田一が到着した日に彼は死体となって発見された。そして、それを引金に恐ろしい連続殺人事件が起きる….


娘のリクエストがあったので家族で鑑賞。30年前の大ヒット映画のリメイクであり、前作はこれまで何度もTVで放映されたはずであるが、実をいうと俺はこれまで最後までちゃんと見たことは一度もない。

最後の謎解きシーンにおける金田一の説明によると、この連続殺人事件のトリックのキモは“殺人犯とは別の人物が犯行のカムフラージュしている”という点なんだそうだが、捜査の過程ではこのへんの説明を全くしてくれないんで、俺はそんなトリックなんて全然気付かなかった。

あまり推理小説を読まない俺が言うのも何なんだが、普通、ミステリイって「謎の提示→謎を説明するための仮説の設定→仮説の証明」って順序で話が展開していくもんだと思うけど、この作品の場合、金田一がちゃんと謎の提示をしてくれないんで、俺みたいな初心者は単に“猟奇的殺人事件が起きたんだなあ”としか思わないんだよね。

それと、珠世が犬神佐兵衛の孫らしいってことは解ったけど、“何故、佐兵衛は彼女を3人の孫の誰かと結婚させたかったのか”とか、“何故、彼等が殺されることが佐兵衛の望みだったのか”等々、見ていて良く解らない点がいくつかあった。まあ、超有名なお話しなので、細かいところを省略してもほとんどの人は十分理解できるのかもしれないけど、ちょっと不親切だよね。

出演者では、前作でも金田一を演じていた石坂浩二は結構頑張っていたと思うけど、ヒロインの松嶋菜々子の方はなんか女優としての勘が完全に狂っているっていう感じで、全く精彩がない。期待の深田恭子もやや抑え気味の演技でちょっと期待はずれ。

ということで、娘の感想は“全然怖くなかった。特に佐武の生首はリアルさ無さすぎ!”とのこと。まあ、有名な“湖に両足を突き出した死体”にしても今ではほとんどギャグの類であり、「そして誰もいなくなった(1945年)」を見たときも思ったんだけど、今度リメイクするときはコメディ仕立てにすべきだね。