1945年作品
監督 ルネ・クレール 出演 バリー・フィッツジェラルド、ウォルター・ヒューストン
(あらすじ)
オーエン氏によって孤島の別荘に招待された8人の男女。そこには、数日前に雇われたばかりの執事夫婦がいるだけで、肝心のオーエン氏は不在のまま。夕食の後、執事のかけたレコードから彼等10人の犯した罪を告発する声が流れ、その直後から一人、また一人と殺されていく。招待客のうちの一人である判事(バリー・フィッツジェラルド)は、残った医師(ウォルター・ヒューストン)等に“犯人は自分たちの中にいる”と告げる….。
俺は、推理小説はあまり読まないんで、クリスティの作品も多分「アクロイド殺し」と「オリエント急行殺人事件」くらいしか読んだことがないと思う。この「そして誰もいなくなった」も、“あまりにも有名”なせいで読む前からおおよそのストーリーを知ってしまったこともあり、これまでちゃんと読んだことはなかった。
まあ、そんな状態でこの作品を見たんだけど、これが意外に面白かった。途中、ムダな犯人探し(=正解が出る訳がない!)を最小限に止め、スピーディにストーリーを展開させたのが良かったのだと思う。原作とは異なるラストも、映画化する上での工夫の一つであり、個人的には問題なし。
それと、これはおそらく名匠ルネ・クレールの功績だと思うが、全編に漂うユーモア感がいいね。元々、現実的にはありえないようなお話しなんだから、連続殺人事件だからといって深刻ぶる必要は全くなく、軽〜く流したのは大正解。「犬神家の一族」なんかもこんな感じで演出してみたら、きっと楽しい作品になるんじゃないだろうか。
バリー・フィッツジェラルド、ウォルター・ヒューストンといった名優達の競演も楽しい、なかなかの名品だと思います。
ちなみに、そんな推理小説嫌いの俺の好きな作品ベスト1は、エラリー・クイーンの「レーン最後の事件」。この作品を読んでからは、あの傑作「Yの悲劇」もこれの単なる前フリとしか考えられません。