大日本人

この週末は生憎の空模様ということで、例によって“映画にでも”ということになったのだが、残念なことにあまり目ぼしい作品がない。マスコミでは松本人志の初監督作品「大日本人」と北野武の「監督ばんざい」が話題であるが、後者はCMでだいたいどんな作品か見当が付いてしまうということで、少々の不安を抱きつつ前者のほうを家族で見に行ってきた。

で、見事不安は的中。冒頭から大日本人に扮した松本に対するインタビューが延々と続く訳だが、これは普通の映画ではいろんな意味でタブーだよね。ダウンタウンの漫才であれば、早々に浜田の痛烈なツッコミが入るところなんだろうけど、何とこの作品では松本のボケが30分くらいにわたってダラダラと続く。案の定、隣で見ていた娘は10分くらいで飽きてしまった。

その後、“獣”の出現によってテンポが変わるかと思いきや、数分間の格闘シーンの後、再びインタビュー・モードへ。その後もこの繰り返しで、全体の3分の2を過ぎた頃になってようやく浜田のツッコミに相当する(?)正体不明の“獣”が出現するんだけど、時すでに遅しっていう感じかなあ。

一応、最後まで見たけど、上映中、ほとんど笑い声は聞こえなかったし、TVだったら1時間でチャンネルを変えていたと思う。まあ、松本がこういう作品を作りたかったっていう気持ちは理解できるし、掟破りのインタビュー形式の採用も、演出・脚本力の不足というだけではなく、彼自身の話術に対する自信の現れなんだろうとは思うが、いかんせんテンポ悪すぎです。

ということで、ちょっと話題になりすぎたのが心配ではあるが、少なくとも松本は自分が作りたいと思う作品を撮る“力”があることはこれで証明できた訳であり、とりあえず今後のご活躍を期待したい。まあ、次回作があったにしても、娘には付き合ってもらえそうもないけどね。