眺めのいい部屋

1986年作品
監督 ジェームズ・アイヴォリー 出演 ヘレナ・ボナム・カータージュリアン・サンズ
(あらすじ)
20世紀初頭の英国。ルーシー・ハニーチャーチ(ヘレナ・ボナム・カーター)は同じ上流階級の青年セシルと婚約し、静かで恵まれた日々を送っていた。そんなとき、彼女は近所にジョージ・エマソンジュリアン・サンズ)が引っ越してくるという噂を耳にして驚く。彼は、以前、ルーシーがイタリアを旅行したときに知り合い、ふとした偶然から情熱的なキスをかわした相手だった….


フィレンツェが舞台ということで見てみたんだけど、元々がイギリスの話なので、フィレンツェが出てくるのは冒頭の15分とラストだけ。しかし、作品自体はとても面白かったので、不満はない。

最終的にルーシーとジョージは結ばれることになるのだが、そこに行きつくまでが“偶然”のオンパレード。いくらそうなる運命だからといって、普通、ここまでやられると見ていて白けるもんだが、何と! そうなっていないのが逆に凄い。おそらく、クラシックな雰囲気を醸し出すことに成功した演出と物語風な構成を採用した脚本の成果だと思うが、途中、何の違和感も感じないまま物語に引き込まれている自分を発見し、感心してしまった。

でも、ストーリー上、ルーシーの婚約者であるセシルの“真面目さ”が欠点として扱われているようなところは、同じ真面目人間(?)の俺には少々不満。同じキスをされるにしても、女の人っていうのはああいう具合に“いきなり情熱的に”っていうのがいいのかね。あれって、ジョージ君の感違いが原因なんだけどねえ。まあ、いずれにしても、上流階級ではないらしい彼との生活は、ルーシーにとって何かと大変だろうと思うが、セシル派の俺としては遠くからお二人の幸せをお祈りするだけである。

主役のヘレナ・ボナム・カーターはとても可愛らしいが、それ以上に素晴らしいのがマギー・スミス! 期せずして二人のキューピット役になってしまうというルーシーの老従姉役なんだが、その上品な天然ぶりはとても面白かった。彼女は、これまでハリー・ポッターシリーズのマクゴナガル先生役でしかお目にかかったことがなかったが、こんなに上手い人とは知りませんでした。

ところで、お目当てのフィレンツェ関係であるが、作中、サンタクローチェ寺院とシニョーリ広場というところが紹介される。でも、夏休みに予定しているイタリア旅行では前者は観光コースに入っていない模様で、ちょっと残念。