ドリームガールズ

このところ日曜日ごとに出かけていたので、なかなか見に行けなかった「ドリームガールズ」をやっと見ることが出来た。

いやー、これは俺等の世代の音楽好きには堪らない作品ですな。劇場の公開オーディションみたいなシーンから始まるんですが、もうここから音楽鳴りっぱなし状態。それでいてテーマもストーリーも結構ちゃんとしたものがあるあたりは流石です。ディスコ・ミュージックをバカにしていたのも個人的にちょっとうれしかったし….

ストーリーのほうは、シュプリームスをモデルにしているのは知っていたんだが、実際に見てみると彼女たちを含むモータウン・レーベル自体の功罪がメイン・テーマの一つになっている。前に公開された「永遠のモータウン(2002年)」もそうだったが、モータウン批判というのは最近の流行なのかね。

確かに、“白人におもねった”という側面は大いにあるんだろうが、それもマーケティングの一種だと考えれば、ある程度はやむを得なかったような気もする。黒人としてのプライドも重要だけど、洗練されていない、生の黒人音楽というのは、相当取っつきにくいものであることも事実だからね。(「ドリームガールズ」の最初のほうでもこの“洗練されていない黒人音楽”が出て来るのだが、実際はあんなもんじゃない。)

出演者のほうでは、やはりこの作品でアカデミー助演女優賞に輝いたジェニファー・ハドソンの歌と存在感は凄い。まあ、演技力の面から“主演”は辛いと判断して助演女優賞のほうにノミネートしたんだろうけど、彼女の扮するエフィーはとてもドラマチックな役柄で出演者の中で一番目立ってました。

これに対し、ビヨンセ扮するディーナの方は、エフィーに比べると相当損な役どころ。でも、逆にいえば、この役を彼女が演じたからこそ、“エフィーを切ってディーナをとる”というストーリー展開に一層の説得力が出た訳であり、決して無駄な配役ではなかったと思う。それに、なんといってもビヨンセの美しさはそれだけで十分にカネが取れる! 美容技術の進歩もあるのかもしれないが、正直、ダイアナ・ロスなんて目じゃないね。滅多なことでは女優さんを褒めない妻も感心していた。

ということで、個人的には大満足な作品だったが、時代背景が解らない娘にはちょっとキツかったかなぁ。途中に出て来るキング牧師に関するギャグなんかも当然理解できなかったろうし、と思って見終わってから恐る恐る感想を求めたところ、“エフィーの歌は上手かったし、「どろろ」よりはおもしろかった”とのことで、まずは一安心。次はそっちに合わせるからね。