規範意識の低下って本当?

日本国民の規範意識が低下しているそうである。そして、この憂慮すべき事態に対処するため、政府は国民の規範意識を高め、「美しい国」を取り戻すべく教育改革や刑事罰の厳罰化等に積極的に取り組もうとしている。

でも、これってフツーに考えて変だよね。だって、政治家やお役人の汚職とか不祥事は昔の方がずっと派手だったし、店先に並んでいる商品の表示なんて昔は結構いい加減で、そんなの信じるほうがバカだった。それに酒気帯び運転とかセクハラは比較的最近まで大目に見られていたような気がするし、談合や医療過誤にしたって(表面化した件数は増えているのかもしれないが)全体としてはむしろ昔より減っているという話しを聞いたことがある。

まあ、いずれも俺の個人的な印象でしかない訳だが、俺と同世代の方々にはみんな同意して貰えると思う。要するに、規範意識が低下しているのではなくて、そう見えるだけの話し。
確かに、子どもの給食費を払わない親が急増しているという件については客観的なデータでも明らかになっているそうだが、それにしたって“増えている”っていうためには昔のデータ(そんなもの在るの?)との比較が最低限必要だろうし、不払いの理由が経済的なものか規範意識の低下によるものかの判断は結構微妙なところがあり、調査を実施する側の主観が集計結果に相当影響しそうな気がする。

ということで、俺としては、まず政府やマスコミに規範意識の低下を裏付ける客観的なデータをきちんと出して欲しいと思う。それをしないで規範意識の低下を声高に主張することは、愛国心の押しつけや格差拡大の隠蔽のための口実として利用しているだけではないか、と勘ぐりたくなるのだが。