花田少年史 幽霊と秘密のトンネル

2006年作品
監督 水田伸生 出演 須賀健太篠原涼子
(あらすじ)
小学生の花田一路(須賀健太)は交通事故で死にかけたところをセーラー服姿の幽霊に助けられ、一命をとりとめる。その影響で死んだ人間が見えるという不思議な能力を身につけた一路の前に、ある日、彼の本当の父親だと名乗る幽霊が現れる。その幽霊は、一路の母親の寿枝(篠原涼子)と彼とはかつて恋人同士であり、二人の仲を無理矢理引き裂き、彼を死に追いやったのが今の一路の父親だと告げる….。


劇場公開時、娘が見たいといっていた作品。てっきりコテコテのお子様向け映画だと思いこんだ俺が拒否権を発動したため、今回、家族でのDVD鑑賞となった。

でも、これが大人が見ても結構おもしろかった。“死んだ人間が見える”とくれば当然「シックス・センス(1999年)」な訳で、あの映画のゲロ吐き少女と同じシチュエーションでもたいまさこ扮する吉川のばあちゃんの幽霊が出てきたのには大笑いでした。

主役の須賀健太君が上手いのは、まあ当然として、彼の引き立て役だとばかり思っていた壮太役の子どもがとても良い。途中からストーリーに絡みだすや否や、どんどん存在感を増していき、前半のクライマックスである運動会の借り物競走の場面では思わず俺も涙ぐんでしまった。まあ、今時借り物競走のお題に「お父さん」なんてのを出すのは、現実的にはありえないだろうけど。

後半は、一路の父親に対する不信感とその謎解きが中心になる訳だが、その謎解きの方法はちょっと安易かなあ。まあ、お子様向けにはこれが一番解りやすいのだろうが、もう一ひねりあってもよかったのではなかろうか。でも、作中で提示された謎が終わるまでにみんなきれいに解決されていているあたりは、さすが健太君でした。

なお、時代設定はあくまでも“現代”なのだが、地方の田舎町が舞台なせいか全体的にちょっと懐かしさが漂っていて、これが大人にも受け入れやすい雰囲気を醸し出している。いっそのこと20年前くらいの設定にしておけば、借り物競走のお題の不自然さもいくらか緩和されたかもしれない。

※ ネットで調べたところ、この作品の原作になったマンガでは1970年代が物語の舞台になっているとのこと。おそらく、映画では“ちょっと昔からまたそのちょっと昔にタイムスリップする”というストーリーでは子どもには解りづらいため、設定を変更したのだろう。