2006年作品
監督 是枝裕和 出演 岡田准一、宮沢りえ
（あらすじ）
父の仇を討つために信州から江戸に出てきた青木宗左衛門（岡田准一）は、貧乏長屋に住み着きその機会を窺っていた。しかし、子連れの未亡人おさえ（宮沢りえ）をはじめとする長屋の面々と一緒に生活するうち、次第にその自由な暮らしぶりが気に入ってしまい、仇討ちという行為に疑問を持つようになる….
「誰も知らない」（未見）で一躍有名になった是枝裕和監督の時代劇コメディ。主役の二人以外にもなかなか豪華で多彩な俳優やコメディアンが揃っており、顔ぶれを見ているだけでも結構楽しい。
でも、脚本はダメ。最初の方で宗左衛門の現在置かれている境遇や目的、性格などが集中的に説明されるのだが、判りやすい一方、謎が無くなってしまうため物語に対する興味が十分持続しない。宗左衛門の剣の腕前が実はからっきしダメという重要な情報が、あんなとってつけたようなエピソードで紹介されてしまうのは実にもったいない。
また、個々のエピソードには良いものも少なくないのだが、それらが並列的なため盛り上がりに欠けるのも大きな欠点。勿論、いくつか本筋と無関係なエピソードがあってもいいんだけど、やはり核になるエピソードを決めて、それに向かって話しが収斂していくような配慮も必要だったのではないか。せっかく、時代設定を赤穂浪士の討ち入りに合わせたのに、そのアイデアもあまり活かされていなかった。
と、ここまで悪口ばかり書いてきたが、“憎しみの連鎖は何も生み出さない”という作品のテーマには好感が持てるし、深刻ぶらない雰囲気もとても良い。主演の岡田君の自然な演技（？）もそんな作風にピッタリでした。一方、宮沢りえのちょっとカマトト風な演技は、俺は決してキライではない（というか、それを見るのが主要な目的）が、彼女の将来を考えた場合、もうちょっと別のパターンがあっても良かったかもしれない。
