探偵物語

1951年作品
監督 ウィリアム・ワイラー 出演 カーク・ダグラスエレノア・パーカー
(あらすじ)
第21警察署に勤務する刑事のマクラウドカーク・ダグラス)は悪は決して許さない正義漢。彼は堕胎医シュナイダーの取り調べを行おうとするが、彼の弁護士はマクラウドはシュナイダーに“私怨”を持っているので、担当をはずすよう主張する。マクラウドはその話を否定するが、彼の上司はマクラウドの美しい妻メリー(エレノア・パーカー)とシュナイダーの関係に疑問を抱く….


舞台劇の映画化ということで、ストーリーはほとんど第21警察署の中で進んでいく。シュナイダーの他にも、ちょっとズレている万引き女、ふとしたはずみで店の金に手を出してしまった青年、前科持ちの宝石泥棒など色々な犯罪の関係者が登場するのだが、彼等が微妙に絡まり合って進展していくシナリオは流石によく練られており、最後まで緊張感が途切れない。いかにも社会派のワイラーらしい作品で、次第に女房持ちには観ていてちょっと辛い展開になっていくんだが、最後でちょっぴり救いがあるのは何よりでした。

カーク・ダグラスは、例によって感情剥き出しの演技で、妻の過ちを許すことができない哀れな男の役を熱演。見ている方は“あんなに良い奥さんなんだから、一回くらい大目に見てやればいいのに”と思うのだが、彼の傷つきやすいプライドが邪魔してそれができないんだろうね。

一方のエレノア・パーカーは本当にきれいで、しかもちょっと影があるところがグレース・ケリーなんかよりもずっと良い。そういえば「黒い絨毯(1954年)」でもチャールトン・ヘストンに“バツイチ”ってことで虐められていたけど、そういう“美人故の不幸せ”みたいのがよく似合う女優さんです。

それと、上司役のホレース・マクマホンは初見であるが、メリーに対する取調べのシーンで彼女を冷静に追いつめていくところは、いかにも(マクラウドなんか足元にも及ばない)ベテラン刑事らしく、とても良かった。