ローラ殺人事件

1944年作品
監督 オットー・プレミンジャー 出演 ジーン・ティアニーダナ・アンドリュース
(あらすじ)
ニューヨークの新進デザイナーのローラ・ハント(ジーン・ティアニー)が自宅で何者かに射殺されるという事件が起きる。担当刑事のマーク・マクファースン(ダナ・アンドリュース)は、著名な評論家でローラのパトロン的存在でもあるライデッカーや彼女の婚約者のカーペンターなどの関係者から事情聴取をするが、捜査を続けるうちにいつしかローラに惹かれていく….


ハードボイルドタッチのミステリ。
後半にちょっとしたドンデン返しがあるのだが、その原因が極めて基本的な事項に関する捜査ミスにあるため、ビックリするというよりもちょっとシラケてしまう。また、ハードボイルド物ならではの気の利いたセリフがあまり見当たらないのも少々残念。

しかし、登場人物は皆一癖ありそうな個性的な方々ばかりであり、これが結構最後まで飽きさせない。クリフトン・ウェッブ扮するライデッガーは、お上品でちょっとシニカルなところがとても魅力的であり、まるで刑事コロンボに出て来るその手の犯人役の原型みたいなキャラクター。ラストでの“いっちゃった”感じの演技も流石に上手い。また、彼とは対照的に、無骨でどこか胡散臭さの漂うカーペンターを演じる若き日のヴィンセント・プライスもなかなか良い。

そして、本作の最大の魅力は何といっても主演のジーン・ティアニー。十分美人なんだけど、その美しさが他のハリウッド女優みたいに押しつけがましくないところがとても良いね。この作品でも、白い帽子をかぶって登場するシーンの彼女はとても可愛らしい。日本ではあまり一般的な話題にならない女優さんだけど、もっと評価されて良い人だと思う。