万物理論

なんか傑作の呼び声が高いグレッグ・イーガンのSF長編。前に同じ作者の短編集を結構楽しく読んだ記憶があったので、600ページを超える大作にもかかわらず、挑戦してみた。

第一部は、遺伝子工学というか、近未来のバイオテクノロジーに関するアイデア溢れるエピソードの続出で、心地よい眩惑感に魅了され、とても面白かった。

ところが、第二部に入り、本題の万物理論が出て来るあたりから物語の展開がペースダウンしてしまい、ちょっとダレる。よっぽど途中で放り出そうかと思ったが、がんばって読み続けたところ、万物理論の提唱者を巡る犯罪が具体化してきたあたりから再び面白くなってきて、なんとか最後まで読み通せた。ハァ、ハァ

で、感想だけど、うーん、こういうのが最近のSFなんだねぇ。確かにアイデアは豊富だし、センス・オブ・ワンダーもあるんで、ツマらなくはない。でも、(俺のボンクラ頭では“アレフ”の後にくる物理的現象と情報の混合化というのが、上手くイメージ出来なかったけど)所詮は他人とのコミュニケーションの問題(?)なんだよねぇ。最初、話のテーマはものすごく大きいように思えるけど、実際は結構身近な問題なのかもしれない。
まぁ、いずれにしても、昔のSFにあった“爽快さ”みたいのからは、相当縁遠いことは間違いなさそうだ。もう一度読んでみれば、もっとよく理解できるかもしれないけど、この厚さなので、ちょっと気が引けてしまう。

前に読んだ「星を継ぐもの」みたいな宇宙ものでは、もはや物語のリアリティを維持できないし、今の時代って、SFを書く方も読む方も大変なんだね。