家族

1970年作品
監督 山田洋次 出演 倍賞智恵子、井川比佐志
(あらすじ)
長崎県の離島で暮らす風見民子(倍賞智恵子)は、夫の精一(井川比佐志)の勤める会社が倒産したことをきっかけに、彼の長年の夢であった北海道の開拓村への転居を決意する。民子はなけなしの金をかき集め、何とか家族全員の旅費を捻出するが、鉄道を乗り継いで日本列島を縦断する長旅は幼い子供や老父に過重な負担を強いるものであった….


山田洋次見直しシリーズ第1弾。

しっかり者の妻とダメ夫の取合せは、我が国においてはベタかもしれないが、やはり良いもんだね。青函連絡船の中で、夫が妻に一方的に責任を押しつけようとするシーンでの民子の哀れさと精一のダメっぷりは、身につまされるほど(?)面白かった。

ワキも、笠智衆や花澤徳衛という今は亡き名優のほか、ハナ肇春川ますみ渥美清等(あっ、こっちも死んでいる!)がちょい役で花を添えており、なかなか豪華。俺は有名スターのカメオ出演というのは、観ていて気が散ってしまうのであんまり好きではないのだが、この作品では顔見せだけではなく、ちゃんと演技しているのであまり気にならなかった。

山田洋次には、演出過剰っていうイメージがあったのだが、唯一、大げさなBGMを除き、結構あっさり系に仕上げてあり、好感が持てました。

で、映画は、北海道の遅い夏が訪れる中での新たな生命の誕生ってところで一応ハッピーエンド風に終わるんだけれど、実際はこれからが大変なんだろうね。
この映画や北海道を舞台にしたTVドラマなんかを観てると、一般観光客のように北海道の冬の厳しさを経験しないで夏の素晴らしさだけを享受しようという態度は、ちょっと正しくないように思えてしまう。まぁ、そういう観光客が来ないと、北海道の経済が成り立たないのも事実なんだけど。