虹を掴む男

1947年作品
監督 ノーマン・Z・マクロード 出演 ダニー・ケイ、ヴァージニア・メイヨ
(あらすじ)
出版社に勤める気弱な青年ウォルター・ミティ(ダニー・ケイ)は重度の空想癖の持ち主であり、車の運転中であろうが、仕事中であろうがお構いなく白日夢の世界へ入り込んでしまう。その世界では、彼はきまって正義のヒーローであり、金髪の美女(ヴァージニア・メイヨ)に思いを寄せられることになる。そんな彼が、ある日、通勤電車の中で夢の中の美女と瓜二つの女性から助けを求められたことにより、隠された美術品を巡る殺人事件に巻き込まれる….


むか〜し、TVでズタズタにカットされた版を観た記憶があり、今回、DVDで二度目の鑑賞。
1回目のときは「ポケタ、ポケタ」くらいしか印象に残らなかったが、改めて観てみると、これはまさにダニー・ケイのための企画ですな。白日夢の中で海の男やカウボーイといった様々なキャラクターを演じ分けるのは、多芸多才の彼にピッタリ。特に、天才外科医になったウォルター君が母親から買い物を頼まれた品々を使って手術するというギャグには笑わせていただきました。「ギルダ(1946年)」を観たときにも感じたことだが、ハリウッドが誰かをスターとして売り出すときの露骨なまでのファンサービスにはほとほと感心させられる。

ただ、その余り脚本のほうがおざなりになるのも避けられないようである。この作品でも、歴戦の撃墜王がパーティで音楽教師の物まねをするという設定は、いくらダニー・ケイの十八番を観客に見せたいからとはいえ、ちょっと無理があると思う。もう少し丁寧に作ってくれれば、真に名作と呼ばれる作品になったのになぁ。まぁ、現状でも十分おもしろいけど。