Bob Dylan Japan Tour 2016

今日は、渋谷のBunkamura オーチャードホールで開催されたボブ・ディランの来日コンサートに行ってきた。

4月4日から始まった今回のJapan Tourも今日を入れて残すところあと2回となり、ネット上にはこれまでのコンサートの様子を伝える記事か幾つか上がっている。それらによるとセットリストは毎回共通らしく、来日記念EPの「Melancholy Mood」から3曲、「Shadows in the Night」と「Tempest」から各5曲、そしてそれ以前の旧作から8曲という配分。「Melancholy Mood」は未聴だが、まあ、何曲か知らない曲があった方が面白いだろう。

さて、仕事を早めに切り上げて会場に向かうと、オーチャードホールの入り口にはそれなりの人だかりが出来ており、6時半の開場時刻を待って館内へ。1階17列目の席は思ったよりステージからの距離があるものの、まあ、1978年の初来日コンサートのときは日本武道館の最上階で聴いたことを考えれば天国みたいなもの。

期待に胸を膨らませながらコンサートの開始を待っていると、突然のギターのイントロとともに館内が暗くなり、“Things Have Changed”で幕を開ける。距離がある上に帽子を目深にかぶっているせいもあってディランの表情を読み取ることは出来ないが、結構ノリノリのようであり、声もちゃんと出ている。

当然のことではあるが、発表時期が古い曲ほどアレンジがキツくなる傾向にあり、“She Belongs to Me”や“Tangled Up in Blue”、“Bloin' in the Wind”といった往年の名曲は、歌詞に気を付けていないと何の曲だったか一瞬戸惑ってしまうくらい。しかし、それこそがディランのライブの最大の魅力であり、聴いているうちについ頬が緩んできてしまうのをどうすることも出来ない。

個人的に気に入ったのは「Tempest」からの5曲であり、大好きな“Duquesne Whistle”や“Pay in Blood”は勿論のこと、CDではあまりパッとしないと思って聴いていた“Early Roman Kings”や“Long and Wasted Years”の出来が素晴らしく、特にメリハリの利いた後者の演奏は本日のクライマックスと言って良いだろう。

これに対して「Shadows in the Night」からの曲は、正直、ライブ向きとは思えず、せっかく盛り上がったコンサートの雰囲気がその度に沈静化させられてしまう印象。まあ、本人が気に入っているんだから仕方ないのだが、せめて前半にスローなバラード曲を集中させ、後半はノリノリのロック・ナンバーの連続で盛り上げる、といった工夫も必要だったかもしれない。

ということで、ほぼ2時間であっさり終了したコンサートは、老いてなお我が道を進もうとするディランの健在ぶりを再認識させられた内容であり、永らく俺の記憶に残るものになると思う。“I Shall Be Released”の大合唱で幕を閉じるようなコンサートを期待しないと言えば嘘になるが、まあ、そんな年寄りは「Before the Flood」でも聴き返していれば良いのでしょう。
【本日のセットリスト】
1. Things Have Changed
2. She Belongs to Me
3. Beyond Here Lies Nothin'
4. What'll I Do
5. Duquesne Whistle
6. Melancholy Mood
7. Pay in Blood
8. I'm a Fool to Want You
9. That Old Black Magic
10. Tangled Up in Blue
(休憩20分)
11. High Water (for Charley Patton)
12. Why Try to Change Me Now
13. Early Roman Kings
14. The Night We Call It a Day
15. Spirit on the Water
16. Scarlet Town
17. All or Nothing at All
18. Long and Wasted Years
19. Autumn Leaves

アンコール
20. Bloin' in the Wind
21. Love Sick