黒岩山

今日は、鬼怒沼の奥にある黒岩山を女夫淵温泉からのピストンで歩いてきた。

往復30kmを超える超ロングコースということで、日の長い今のうちにクリアしておこうと考えていたのだが、なかなかお天気と個人的なスケジュールとが折り合わない。台風のおかげで梅雨晴れになったこの週末もヤボ用があるため山には行けなかったが、本日、ようやく休みが取れることになり、喜び勇んで女夫淵温泉の無料駐車場に到着。

事前学習によると夜中の奥鬼怒歩道は不気味な雰囲気らしく、怖がりの俺としては明るいうちに戻ってこられるよう、午前3時53分に駐車場を出発。しかし、橋を渡っている途中でAMラジオを忘れてきたことに気付き、一度車まで戻ってから4時ちょうどに奥鬼怒歩道入口の階段を上る。

上空はいくぶん明るくなりつつあるものの、足下はまだ暗いのでしばらくはテン泊用のペンライトで周囲を照らしながら進んでいく。川を流れる水音が大きいため、クマ対策として持参した熊鈴(×2)やAMラジオはあまり役に立ちそうもないが、夜明けと共に次第に周囲が明るくなってくるのでそんなには怖くない。

今から20年くらい前に職場の連中と鬼怒沼まで歩いたことがあるのだが、そのときの記憶はもはや曖昧であり、お洒落な山小屋風の八丁の湯(4時52分)やモダンな加仁湯(5時00分)の建物を新鮮な気持ちで眺めながら5時10分に日光澤温泉着。ここの水場で給水させてもらったので、この時点での飲料水は3リットル強であり、これなら小松湿原の水場が見つからなくても無事に戻って来られるだろう。

さて、この先どこでメールが繋がるか分からないので、ここで自宅に経過報告を入れてから再出発。ルートはようやく上りになり、根名草山分岐(5時16分)〜ノシ滝(5時24分)と進んでいくと、いつしか目の前を先行者のグループが歩いており、“黒岩までですか?”と尋ねてみたが、残念ながら答えはノー。結局、この日は鬼怒沼山より先で他の登山者に出会うことは一度も無かった。

オロオソロシの滝展望台(5時45分)を過ぎると次第に傾斜は弱まり、6時41分に鬼怒沼に着く。20年前の記憶よりは随分こぢんまりしているが、一面のワタスゲに覆われた湿原を独り占め出来るのはとても良い気分であり、AMラジオが先程から繰り返し伝えている熱中症の危険性なんかは微塵も感じられない。

鬼怒沼巡視小屋(6時52分)の先から再び樹林帯の中を進んでいくと7時11分に鬼怒沼山への分岐に着くが、ここは帰りに余力があったら立ち寄ることにしてとりあえず直進。ス−パー林道への抜け道があるという鞍部(7時28分)を過ぎると笹藪に覆われた急登になるが、区間は短いので大したことはない。8時28分に小松湿原の水場に着くことが出来た。

この先から倒木が多くなってくるために歩き辛くなるが、ルートは依然として明確。ちょっと怪しいところには新旧様々な目印が付けられているので、これを探しながら歩けば道迷いの心配は少ないだろう。9時4分に着いた尾瀬方面と黒岩山との分岐地点には、事前学習で何度も目にした例のプレートが地面に置かれていた。

山頂へのルートはヤブっぽいようなので、フード付きのヤッケに着替え、虫除けスプレーを体中に散布してから山頂を目指す。事前学習のとおり、ギリギリまで左手の斜面に取り付くのを我慢したおかげで“正しい”踏み跡をたどることが出来たと思うが、それでも所々ヤブに覆われたルートを歩くのはちょっと大変。9時34分に黒岩山(2162.8m)の山名板が目に飛び込んできたときには、正直、とても嬉しかった。

山頂からの眺望は最後の藪コギからはちょっと信じられないくらいに素晴らしく、群馬、福島、栃木の山々を一堂に見渡すことが出来る。おそらくはもう二度と訪れることは無い場所なのでゆっくりしたいところであるが、あまりの孤立感のせいからか妙に落ち着かず、結局、自宅にメールをしてから9時51分に下山に取り掛かる。

さて、意識した訳ではないが往路が少々オーバーペース気味だったので、復路は結構バテバテ。気温も上がってきたようなので、熱中症にならないように水分や塩タブレットを随時補給しながらノロノロと往路を引き返し、黒岩山分岐(10時11分)〜小松湿原水場(10時48分)〜鞍部(11時41分)と進んで12時5分に鬼怒沼山分岐まで戻ってくる。

一瞬どうしようかと迷ったが、まあ、ここで諦めてしまっては後で後悔するに決まっているということで、予定どおり鬼怒沼山山頂までのピストンを決行。幸い、山頂(2140.8m。12時13分)までは片道10分もかからず、12時19分には分岐まで戻ってくることが出来た。

それから先は往路を引き返すだけであり、鬼怒沼巡視小屋(12時39分)〜オロオソロシの滝展望台(13時49分)〜ノシ滝(14時11分)〜日光澤温泉(14時20分)〜奥鬼怒歩道入口(15時43分)と歩いて15時45分に駐車場到着。正直、往復で12時間を切れるとは考えてもいなかった。

ということで、本日の総歩行距離は32.3kmであり、日帰りの山歩きとしてはこれまでの最長記録を更新。まあ、比較的平坦な区間が長かったとはいえ、初めて30kmの大台を超えることが出来たのは嬉しいものであり、末永く思い出に残る山歩きになったと思います。