フューリー

今日は、妻と一緒にブラピの最新作である「フューリー」を見に行ってきた。

本物のティガー戦車が登場する戦車バトルが売り物のようであり、舞台が第二次世界大戦ということで、まあ、少々不謹慎ながら、久しぶりの痛快な戦争アクション映画を期待して映画館に向かったのだが、そうは問屋が卸さない。なかなか真面目に作られた作品であり、戦争の悲惨さをイヤと言うほど見せつけられる結果となった。

もちろん、ティガー対シャーマンの手に汗握る戦車バトルは出てくるのだが、それが見られるのは中盤の1回だけ。その後、地雷を踏んだフューリー号は道の真ん中に立ち往生してしまうのだが、そのせいでラストの戦闘シーンは単調になってしまい、映像的にも面白味に欠ける。だいたい、敵の少年兵によって簡単に火だるまにされてしまったシャーマン戦車が、ラストで驚異的な耐久力を発揮するというシナリオはあまりにも不自然だろう。

フューリー号を動けなくしたことのもう一つの問題点は、それによって主人公達を“味方のためなら死ぬのも厭わない”というステレオタイプな英雄に仕立て上げてしまったところであり、まあ、戦争映画だから戦死するのはやむを得ないとしても、それはフューリー号とともに死地を脱するために精一杯の努力をした末でのことにして欲しかった。

それにしても、あんな絶望的な状況下においても、現状をなお肯定的に受け入れられるという聖書の多機能さにはただ感心するばかりであり、数千年にわたる抑圧に絶え続けてきた弱者の“知恵”の塊みたいなものなんだろう。まあ、客観的には自己欺瞞以外の何ものでも無いのだが、たまには“神のバカヤロー”と叫んで終わる戦争映画を見てみたいなあ。

ということで、本作で見られる戦車バトルはティガー1台対シャーマン3台という比較的小規模なものだが、その迫力は十分に一見の価値がある。現存する走行可能なティガー戦車はこれ一台しかないらしいのだが、CGを使って恐竜でも宇宙船でも創り出せてしまえる現在、いつの日かティガー対シャーマンの大規模な戦車戦を是非見せて欲しいと思いました。