2011年作品
監督 三島有紀子 出演 原田知世、大泉洋
(あらすじ)
東京で暮らしていたりえ(原田知世)は、父親の死を契機に“夫”の水縞尚(大泉洋)と一緒に北海道洞爺湖のほとりの月浦に移住。夫がパンを焼き、妻がそれに合うコーヒーや料理をつくるというパンカフェ“マーニ”を開店する。二階には宿泊者用の部屋も用意されており、ある日、彼氏にふられて沖縄旅行をドタキャンされたという香織が客として一人でやって来る….
近々公開予定の「ぶどうのなみだ(2014年)」と同様、三島有紀子&大泉洋のコンビによる作品。
ご多分に漏れず、我が家でも「水曜どうでしょう」は人気であり、そのメインパーソナリティである大泉洋はどうしても気になる存在。そんな彼の主演作である「ぶどうのなみだ」も、当然気にはなるのだが、どんな内容のものなのか全く見当が付かず、そのヒントを得るために本作を見てみることにした次第。
さて、本作はプロローグとエピローグの他に3つのエピソードから成り立っており、それらはいずれも心の問題を抱えた人々がカフェ“マーニ”のパンと手作り料理、それにりえさん&水縞クンの心のこもったサービスで癒やされて帰って行くという内容。もちろん、洞爺湖畔という人里離れた立地環境も、その癒やしに大きく貢献しているのだろう。
ただし、おそらく本作は相当に見る人を選ぶ作品であり、正直、俺のような中年オヤジには全く向いていない。作中に「月とマーニ」という絵本が重要なモチーフとして登場するのだが、この作品自体、絵本の中身を映画化したような内容であり、リアリティは希薄。ひょっとすると、りえさん若しくは水縞クンのいずれかが大金持ちのご出身という裏設定があるのかもしれないが、あの立地条件であれば一度や二度は経営上の財政問題が夫婦の話題に上るのが普通であろう。
まあ、ファンタジーにいろいろとツッコミを入れるのも野暮なことではあるが、個人的な趣味からすると、最後に“すべては現実を受け入れることが出来ないまま年老いていった女主人公の妄想”というオチが付いていれば納得できたかもしれない。
ということで、原田知世演じる主人公の年齢設定はおそらく30代後半というところであり、外見的にそう違和感が無いのは大したものだと思うが、彼女のおおよその実年齢を知っているだけに、少女みたいに天を見上げたりするシーンなんかを見せられるのはかなりキツイ。俺が彼女の演技に“狂気”の臭いを感じ取ってしまったのは、そんなところに原因があったのだと思います。