スコルピオンの恋まじない

2001年作品
監督 ウディ・アレン 出演 ウディ・アレンヘレン・ハント
(あらすじ)
1940年のニューヨーク。保険会社に勤務する敏腕保険調査員のC.W.ブリッグス(ウディ・アレン)は、リストラ担当として赴任してきたベティ=アン・フィッツジェラルドヘレン・ハント)と犬猿の仲。ある日、同僚の誕生日パーティに出席した二人は、怪しげな催眠術師のヴォルタンから、あるキーワードを聞くと相思相愛になるような暗示をかけられるが、その裏には恐ろしい犯罪の影が….


ウディ・アレンが監督、脚本、主演を務めたコメディ映画。

その犯罪というのは、催眠術を使ってC.W.を操り、窃盗を働かせるというものであり、後日、C.W.の自宅に電話をかけたヴォルタンは、電話に出たC.W.に“コンスタンティノープル”というキーワードを囁いて催眠状態に陥らせ、保険会社の顧客である金持ちの家から金品を盗み出すことを命じる。

最初からネタをバラしているため、観客は真犯人が誰かといったことに思い悩む必要もなく、自分の犯行とは知らないまま盗難事件の調査に当たるC.W.のマヌケぶりを見て笑っていれば良いのだが、保険会社内部の者の犯行と推理した彼が怪しいと睨んだのが天敵のフィッツジェラルドということで、話はややこしくなってくる。

まあ、最後は催眠術師ヴォルタンの悪巧みを暴いたC.W.が、同じく催眠術で操られていたフィッツジェラルドを救出することによって無事ハッピーエンドを迎えるのだが、自分の本当の気持ちに気付いたC.W.の愛の告白に対し、フィッツジェラルドがOKを出すときのやり取りが洒落ており、なかなか後味の良いエンディングになっている。

不満があるとすれば、C.W.とフィッツジェラルドの絡みにロマンチックな雰囲気が希薄なところであり、まあ、その責任の大半は公開当時66歳のウディ・アレンにあるのだろうが、フィッツジェラルド役のヘレン・ハントに色気が足りないのも事実であり、わき役で出ているシャーリーズ・セロンに比べると相当見劣りしてしまう。

ということで、主演を務めたウディ・アレンの枯れた味わいは決して嫌いではなく、大きな不満は無いのだが、やはり主演はもう少し年若の他の俳優に任せた方が良かったような気がする。「タロットカード殺人事件(2006年)」における彼の役回りは、本作の反省の結果だったのかもしれません。