一切経山

今日は、妻と一緒に福島県一切経山を歩いてきた。

この山は山頂近くまで車で入れてしまうため、一人で歩くには少々物足りないのだが、逆に、妻と一緒のときには理想的なコース。季節はめっきり秋めいてきたものの、紅葉見物で磐梯吾妻スカイラインが大渋滞を起こすまでにはまだ間があるだろうということで、午前8時ちょっと前に浄土平駐車場に到着する。

天気は快晴であり、心配した風もほとんど無いという願ってもないような好条件の中、8時8分に駐車場を出発。立入禁止の直登ルートとの分岐(8時17分)の先に姥ヶ原への分岐(8時21分)があるが、俺の立てた計画では、下山後、鎌沼を周回してここへ戻ってくることになっている。

さて、一切経山自体は樹木が一本もないハゲ山であるが、そこに着くまでのルートの周辺にある木々は所々色付き始めており、特に左手に見えている蓬莱山南斜面の紅葉は既に見頃に入っている。酸ヶ平の分岐(8時59分)を右折し、避難小屋を過ぎると次第に傾斜が増していくが、先日の岩木山に比べれば何でもない。

高度が上がるにつれて周囲の景色が変わっていくのも大変面白く、湿原の様子が眼下に広がるかと思えば、遠くには磐梯山安達太良山雄大な姿が認められ、もう少し歩くと吾妻小富士の火口が底の方まで覗けるようになってくる。そんな素晴らしい景色を眺めながらのんびり歩いていたら、山頂に着く寸前に南の方から雲が湧いてきてしまい、吾妻小富士はアッという間にガスの中。

これはマズいと、一切経山の広い山頂(1949m。9時46分)に着くなり、証拠写真も撮らないで五色沼の様子を見に行くと、幸いこちら側にはガスの影響は及んでいないようであり、楽しみにしていた“魔女の瞳”と無事ご対面。妻と並んで腰を下ろし、沸かしたお湯でコーヒーを飲みながら、その不思議で魅力的な色合いをゆっくり観賞させて頂いた。

山頂で30分以上休憩してから下山に取り掛かり、10時57分に酸ヶ平の分岐まで戻ってくる。妻に確認したところ、まだ体力は十分残っているとのことなので、ここを右折して鎌沼を目指すが、青空の下に広がる湿原の美しさは格別であり、前大巓の南斜面では笹原の中に点在する低木が色とりどりに紅葉している様子がとても可愛らしい。

そんな中を鎌沼(11時6分)〜姥ヶ原(11時39分)と進み、最後は樹林帯の中を歩いて12時15分に朝方通過した分岐のところまで戻ってくる。もう4時間以上歩いているので、駐車場に着いたらレストハウスで休憩するつもりだったが、7月の草津白根山のときの経験を思い出したのか、妻の提案により、トイレに寄っただけでそのまま吾妻小富士に向かうことになる。

さて、駐車場の先の車道(12時35分)を横断し、階段の付けられた斜面を上ってくと、12時45分に吾妻小富士の火口の淵に到着する。周囲にいるのは家族連れをはじめとする一般の観光客ばかりであり、ザックを担いだこちらの方がちょっと気恥ずかしいくらいだが、とりあえず時計回りに小一時間かけてお鉢巡りを完了(13時30分)。一般観光客は反時計回りに歩く方々がほとんどだが、それだと長い急斜面を下りに使うことになってしまい、尻餅をつく危険性が高まると思う。

ということで、13時38分に登山口にある吾妻小富士の看板のところまで下りてきて、その前で記念写真を撮れば本日の予定は全て完了。総歩行距離は10.4kmであり、この短い行程の中で数々の絶景が眺められるのは非常に効率的であるが、その分、登山客の数も多く、妻と一緒でなかったら少々寂しい思いをしていたかもしれません。