常念岳〜蝶ヶ岳(2日目)

今日は、常念岳から蝶ヶ岳までのプチ縦走を楽しんでから三股に下山する予定。

アラームが鳴る前の午前2時半頃に目が覚めるが、周囲はまだシーンとしたままなのでしばらくテントの中で様子を窺うことにする。長野県の日の出時刻は5時14分であり、常念岳の山頂からそれを眺めるためにはそろそろ準備を始めたいところだが、テント泊初心者としてはあまり早すぎて周囲の顰蹙を買うのもちょっと心配。

3時になると、まるでお約束のように周囲が騒がしくなってきたので、俺も起き出して出発の準備に取り掛かる。夜空には薄っすらと靄のようなものがかかっているものの、いくつか星は見えており、そんな中、乾き物の朝食をとってから手早くテントを撤収するが、結局、準備が出来た頃には4時をとうに過ぎていた。

まあ、山頂からのご来光には間に合いそうもないが、とにかくライトを点けて4時19分にテント場を出発。勝手に適当な先行者を見定めて、その方の後を慎重に付いていくことにするが、ふと西の方に目をやると、夜空を背景に三角形の異様なシルエットが浮かんでおり、あれが憧れの槍ヶ岳に違いない。

5時16分、前常念への分岐の手前でご来光を迎えるが、日が昇るのにつれて反対側にある槍ヶ岳のシルエットがだんだん赤っぽくなっていく。肉眼で見るとあんなに立派なのに、写真に撮るととても小さくしか写らないのは何故なんだろうと悩みながら、前常念分岐(5時22分)を通過して、5時33分に再び常念岳の山頂に立つ。

東の方には雲海が広がっているが、西の方向の見晴らしには何の問題もなく、槍ヶ岳から穂高連峰まで一望することが出来る。例によって詳しい山の名前は分からないが、一番高いのが奥穂高岳で、中間地点の切れ込みが大キレットなんだろう。やはり、昨日諦めたのは大正解と一人ニンマリしながら、休憩後、蝶ヶ岳への縦走に取り掛かる。

こちら側の下りも岩だらけではあるが、浮石が少ない分、常念小屋に下りるよりは幾分歩き易い。俺のすぐ後から出発した若者3人連れに先行をお願いし、迷わないように彼等の後を付いていく。6時32分に鞍部まで下りてきて、そこから少し上り返すと最初の小ピーク(6時40分)にたどり着き、ここで小休止。

しかし、この先は樹林帯のために迷う心配はない故、なかなか腰を上げない若者3人連れに“お先に”と声を掛けて再出発。次の小ピークには7時16分に着くが、ここは休み無しで先に進み、鞍部にある池(7時25分)を通過すると、いよいよ蝶槍への上りとなる。なかなかの急斜面に、途中、ザックを降ろして小休止しなければならなかったが、8時17分、何とか蝶槍に到着。今日のコースでは、ここの上りが一番キツかった。

さて、ここまで上ってしまえば後はなだらかな稜線歩きが待っており、少々雲が出てきたものの、一際大きくなった穂高連峰を眺めながら横尾分岐(8時36分)を直進して、8時56分に蝶ヶ岳ヒュッテへ。小屋の前にあるベンチに腰を下ろし、自宅に無事縦走を終えたことをメールで報告する。

ヒュッテから蝶ヶ岳まではあっという間であり、9時9分に山頂(2,677m)に着くが、その実態はどうしてもちょっとした丘の頂上のようにしか見えない。また、この頃になると穂高連峰にも雲がかかって何も見えなくなってしまい、長居は無用ということでさっさと下山に取り掛かる。

黒滝山分岐(9時17分)〜最終ベンチ(9時26分、三股5.5km)〜旧ベンチ(9時48分)〜蝶沢(10時10分)と、変化の乏しい樹林帯の中の下り坂を歩き続けた後、まめうち平(10時41分、三股2.5km)で小休止。

ここで、肩に食い込むようになったザックのベルトを調整してから再出発し、力水(11時19分、三股0.8km)で顔を洗い、グラグラ揺れる橋(11時27分)を渡って、三股の分岐(11時36分)まで戻ってくる。登山指導所(11時38分)にはやはり人気がなかったが、用意されている用紙に名前と下山時刻だけを記入してポストに投入し、11時50分にようやく駐車場に到着。

ということで、一泊二日の北アルプスデビューをほとんど予定どおり終了することができ、まずはホッとしたというのが正直な気持ち。とりあえず、これで自分の実力を再確認することが出来たので、今回のデータを参考に次の計画(=9月中旬?)を考えてみたいと思います。