ロンドン ある都市の伝記

ロンドン旅行記念の第四弾は、クリストファー・ヒバートという英国の著名な歴史家が書いた歴史書

ローマ時代から現代まで、その時々の政治・経済状況等にも触れながら、基本的にロンドンという町自体の発達していく様子が生き生きと描かれている。旧市街地が、度重なる侵略や大火にも屈することなく、近代的な都市へと変化していく一方で、過密な人口と経済発展に伴う住環境の悪化から、都市の西部へと裕福な順に住民が脱出していく様はとても興味深い。

また、紳士の国である英国の首都に住む人々も、ちょっと前までは随分と粗野で不潔な生活を送っていたことが良く分かり、ディケンズなんかの作品に登場する人々の暮らしぶりをより一層深く理解するのにとても役に立つ。しかも、行間からは作者のロンドンに対する信頼と愛情がひしひしと伝わってくるので、読み終わる頃には読者もついついロンドンびいきになってしまう。

ということで、ロンドン大火記念塔や聖バーソロミュー・ザ・グレート教会、セント・ポール教会等々、この本を読んで行きたくなってしまった場所は沢山あるのだが、既にビッシリと詰まった明日からの英国旅行のスケジュールに割り込ませるのは相当難しいところであり、何とも頭の痛い話です。