1996年作品
監督 ダニー・ボイル 出演 ユアン・マクレガー、ロバート・カーライル
(あらすじ)
スコットランドに住んでいるマーク・レントン(ユアン・マクレガー)は、ベグビー(ロバート・カーライル)、スパッド、シック・ボーイ、トミーといった悪友たちと定職にもつかず、自暴自棄な日々を送っていた。ある日、今度こそヘロイン中毒を断ち切ろうと思い立ったレントンは、大量の食料等を買い込んでアパートの一室に閉じこもろうとしたが….
「スラムドッグ$ミリオネア(2008年)」が面白かったダニー・ボイルの出世作。
冒頭、万引きを働いたらしいレントンとスパッドの二人が、追っ手から逃れるために(イギー・ポップのパンクロックをBGMに)街中を疾走するシーンから始まるのだが、これがムンバイのスラム街を駆け抜ける幼いジャマールの姿とダブって見え、思わずニンマリしてしまう。
その後もヘロイン中毒(=ベグビーはケンカ中毒)の不良青年たちの悲惨な青春が描かれている訳であるが、このダニー・ボイルという監督さんは悲惨な出来事を明るく表現することが得意らしく、“スコットランドで一番汚いトイレ”のシーンや麻薬の禁断症状を描いているシーンを見ていても、どこか楽しそうな雰囲気さえ伝わって来る。
仲間を裏切ったレントンが、麻薬の密売で得た金を一人で持ち逃げし、それを元手にまともな暮らしを始めようとするラストも、通常なら観客の共感を得にくい結末だと思うが、べグビーやシック・ボーイのあまりの出来の悪さをあらかじめしっかり描いているので、割と簡単に許せてしまう。トロいけど性格の優しいスパッドには、後でちゃんと分け前を届けているしね。
また、疾走感のある映像のバックで鳴り続けていた20世紀末のパンクロックのサウンドもとても魅力的であり、山歩きのBGMに使ったら、かなり元気が出そうな気がする。俺にはイギー・ポップとルー・リードくらいしか分からなかったが、今度、サントラ盤を探してみようと思う。
ということで、この坊主頭のレントン青年を演じているのがユアン・マクレガーだということは、見終わるまで全然気付かなかった。先日の「欲望のあいまいな対象(1977年)」におけるコンチータの件といい、俺には外国の俳優さんを識別する上で何か重大な欠陥があるのかもしれません。