ロシュフォールの恋人たち

1966年作品
監督 ジャック・ドゥミ 出演 カトリーヌ・ドヌーヴフランソワーズ・ドルレアック
(あらすじ)
カーニバルを二日後に控え、各地から集まってきた多くの人々で活気に溢れた南仏の街ロシュフォール。その街に住む音楽家のソランジュ(フランソワーズ・ドルレアック)とバレエ教師のデルフィーヌ(カトリーヌ・ドヌーヴ)の美人双子姉妹は、パリに出て活躍する日を夢見ていた。一方、彼女等の母親であるイボンヌは、10数年前にこの地で別れた恋人の面影が今でも忘れられずにいたが….


ジャック・ドゥミの「シェルブールの雨傘(1963年)」に続くミュージカル第二弾。

どうせ「シェルブールの雨傘」の二番煎じだろうとタカをくくり、予備知識の全く無い状態で鑑賞に臨んだのだが、いきないジョージ・チャキリスが現れ、「ウエスト・サイド物語(1961年)」みたいに街中で踊り出すもんだから、正直、とても驚いた。しかも、その後、御大のジーン・ケリーまでもが登場して二度ビックリ!(まあ、お二人とも言葉の方は吹替えのようであるが。)

内容的にも、会話と歌の部分とは明確に区分されており、ダンスシーンも盛り沢山と、前作に比較してより本格的なミュージカル作品になっている。街中での群舞シーンなんかは、「ウエスト・サイド物語」に比べると各ダンサーの動きが微妙にズレていたりするんだけど、そのへんの自由さがいかにもフランス映画らしくて微笑ましい。

ストーリーの方は、ロシュフォールに集まった過去(ダリュー&ピッコリ)、現在(ドルレアック&ケリー)そして未来(ドヌーヴ&ペラン)のカップルの恋愛模様を描いている訳であるが、前半で彼女等の相関関係(=誰と誰がくっ付くか。)を全て明らかにしておき、後半ではそれがどのように実現するのか見せてくれるっていう寸法。

さらに、途中からバラバラ殺人事件の犯人が登場し、一気にロマンチック・サスペンスの如き様相さえ呈してくるのだが、残念ながら期待したような“カーニバル当日における大団円”という具合にはストーリーは展開せず、やや尻つぼみ気味のままで映画は終わってしまう。まあ、こういったさりげない終わり方もいかにもフランス映画らしいのだろうが、個人的には主要登場人物が一堂に会するシーンも是非見てみたかった。

ということで、映像も音楽もとても美しく、途中までは大傑作じゃなかろうかと思いながら見ていた。しかし、主演のお二人が踊れないという致命的な欠点は如何ともし難く、カーニバルにおける彼女たちのステージを作品のクライマックスにできなかった点は返す返すも残念至極。確かにこの時期のドヌーヴの美しさは大きな魅力ではあるが、ここはやっぱりちゃんと踊れる女優さんを起用すべきだったのではないでしょうか。