ヨーロッパのキリスト教美術

フランスの美術史家であるエミール・マールの書いた本。しかも、副題に「12世紀から18世紀まで」とあるので、“文庫本上下2冊でこれだけの内容が読めるのはとってもお買い得”と考えて購入した次第。

しかし、実際はこのマールという人が書いた4冊の古典的著作の中から所々抜粋した文章を再構成したような本であり、各章ごとに記述スタイルがバラバラのため、特に上巻は読んでいて違和感が強い。また、「ヨーロッパ」といっても内容はフランス中心であり、著者がカトリックということでルネサンス美術に関する記述は何とも素っ気ない。

まあ、そうはいっても、上巻で紹介されているフランス国内の大聖堂の彫刻やステンドグラスの説明とか、下巻で殉教、幻視と法悦、死といったテーマごとにカトリック教会による反宗教改革キャンペーンの動きを取り上げているあたりはなかなか興味深い内容となっており、まあ、読んでみて決して損はない。

ということで、今のところ次の海外旅行の行き先としてはイギリスが最有力であるが、いつかフランスに行ったときには、是非とも本書で紹介されていた大聖堂にも行ってみたいなあ、と思いました。