街の野獣

1950年作品
監督 ジュールス・ダッシン 出演 リチャード・ウィドマークジーン・ティアニー
(あらすじ)
一攫千金を夢見るハリー・フェビアン(リチャード・ウィドマーク)は、甘言を弄して有名なレスラーのグレゴリアスに取り入ることに成功し、ロンドンのプロレス興行界への進出を企てる。その資金を作るため、自分のボスに話を持ちかけるが相手にされず、困っているところにボスの奥方から別の事業の申し出が舞い込む….


個人的リチャード・ウィドマーク追悼特集の第三弾。

ボスの奥方を騙して金を作ったハリーは、その資金を元に着々とプロレス興行の準備を進めるんだけど、ザ・ストラングラーというレスラーに声をかけたのが運の尽き。練習中のグレゴリアスと彼の間で大乱闘が始まってしまい、それが原因でグレゴリアスは急死。ハリーは、グレゴリアスの息子でロンドンのプロレス興行界を牛耳るクリストから命を狙われることになる・・・

本作でリチャード・ウィドマークが演じるハリーも悪党には違いないんだけど、せいぜいチンピラ詐欺師といった役どころ。グレゴリアスの死にしたって、彼が直接関与した訳ではないので、本作を見終えてからも“加害者”というよりは“被害者”といった印象の方が強い。まあ、彼としては悪役からのイメチェンを図っている最中の一作ということになるんだろう。

ストーリーは、上で紹介した以外にも、ハリーと彼の恋人メアリー(=ジーン・ティアニーが扮しているんだけど、出番は多くない。)との関係など様々なエピソードが入り組んだ状態で展開していき、登場人物が多いこともあってこれが結構複雑。リチャード・ウィドマークの一枚看板では興行的に不安だったのかも知れないが、ボスと彼の奥方の痴話げんか的なエピソードを削るとか、脚本をもっと整理する必要があっただろう。

また、グレゴリアスとザ・ストラングラーの格闘シーンはなかなかの迫力であり、ベアハッグやアームロックなど昔のプロレスを見ているみたいでとても面白かったんだけど、作品全体のバランスから考えるともっとさらっと切り上げた方が良かったのかも知れない。

ということで、個人的リチャード・ウィドマーク追悼特集も一応これでお終い。本当は昔TVで見た「悪の花園(1954年)」なんかももう一度見てみたいところなんだけど、残念ながらまだDVDになっていないようです。