デスク・セット

1957年作品
監督 ウォルター・ラング 出演 スペンサー・トレイシーキャサリン・ヘプバーン
(あらすじ)
大手放送局の資料室に勤務するバニー・ワトソン(キャサリン・ヘプバーン)は有能なキャリア・ウーマン。ある日、社長命令によって著名なコンピューター技術者のリチャード・サムナー(スペンサー・トレイシー)が資料室に派遣されて来ることになり、バニーたちはコンピューターの導入によって職場を奪われてしまうのではと不安になるが....


スペンサー・トレイシーキャサリン・ヘプバーンの名コンビによるコメディ。

バニーには7年間社内恋愛を続けているボーイフレンドがいるものの、彼がなかなかプロポーズしてくれないのが大きな悩みで、そんな彼女の恋愛模様をコンピューター導入に伴うゴタゴタを背景に描いている。まあ、時代背景として、コンピューターに対するちょっとした世間の不信感みたいなものもあったのかもしれない。

オリジナルはブロードウェイの舞台劇ということで、ほとんどのシーンはバニーたちの働く資料室と彼女のアパートが舞台となっており、あとは脚本の出来と出演者たちの演技内容で勝負! みたいな作品である。

主演のお二人に関しては、マンネリと言われればそのとおりかもしれないが、飽きを感じることなく、最後まで安心して見ていられるというあたりは、既に名人芸の領域ということなんだろう。強いて言えば、年齢的な問題もあってスペンサー・トレイシーがあまりコンピューターの権威に見えないあたりが難点ではあるが、まあ、そこは御愛嬌ということで。

一方、脚本のほうは万全とは言い難い状態で、特にバニーの恋の行方とコンピューター導入の問題とが上手く噛み合っていないような気がする。例えば、彼女がサムナーへの好意と失業への不安の狭間でパニックに陥るような展開にすれば、もっとキャサリン・ヘプバーンの演技の見せ場が増えたと思うんだけどねえ。勿体ない。

ということで、9本ある彼等の共演作品のうち、これまでに俺が見ることが出来た作品は「アダム氏とマダム(1949年)」、「招かれざる客(1967年)」に続き、これでやっと3本目。全部見られる日が来るのはいつのことやら。