イタリア旅行(第8日目) ローマ観光(その2)

長かったイタリア旅行もいよいよ最後。今日の午後9時過ぎの飛行機で日本に帰る。最初の予定ではローマでの自由行動は昨日の半日だけだったんだけど、幸い帰りの飛行機が遅い時間になったので、今日も午後5時半まで自由行動になった。

今日の最初の目的地は「真実の口」で有名なサンタ・マリア・イン・コスメディン教会。ガイドブックによると午前9時開館ということで、朝8時半にホテルを出発することにした。フロントにタクシーをお願いすると“ホテル前のタクシー乗り場へ行け”というので、そこで15分くらい待っていたがいっこうにタクシーが来る気配がない。やむをえず、妻がロビーにいた添乗員さんをつかまえて何とか呼んでもらい、30分ほど遅刻しての出発となった。まあ、これがイタリア式ということなんだろう。

◎サンタ・マリア・イン・コスメディン教会

9時15分くらいに到着。ガイドブックが間違っていたようで、扉の前に書いてある開館時刻は9時30分だったが、既に数名の行列が出来ていたのでその後に並ぶ。定刻どおりに扉が開き、真実の口の前で例のポーズで写真撮影。妻は“思っていたより小さかった”と言っていた。


次は、昨日は中へ入れなかったコロッセオへ向かう。チルコ・マッシモとパラティーノの丘の間の道を歩いて20分くらい。最初に並んでいるのは手荷物検査の行列で、これを過ぎると次に入場券を購入するためのさらに長い行列がある。しかし、昨日添乗員さんに教えられたとおり、来る途中、パラティーノの丘の東口のところでコロッセオの入場券(パラティーノの丘と共通)を購入しておいたので、こっちはパスして内部へ。

コロッセオ(内部)

さすがに1900年間以上持ちこたえているだけあって、とても頑丈そう。グラウンド部分には迷路のような壁が築かれており、昔から“剣闘士はどこで戦ったんだろう?”って不思議に思っていたんだけど、行ってみるとその上に舞台の一部が復元されており、迷路のような壁は舞台下に設けられた楽屋(?)の跡だったことがよく分かる。二階へ登るとその全貌が望める。


続いて、俺が一番見たかったフォロ・ロマーノ。この気持ちは「ローマ人の物語」を読んだ人にはよ〜く理解してもらえるだろう。フォロ・ロマーノへの入場門のようなティトゥス帝の凱旋門をくぐったところにパラティーノの丘への入り口があるので、共通入場券の有効利用でこっちにもちょっと寄り道した。

◎パラティーノの丘

ローマの七丘のうちの一つで、歴代皇帝が住んだ場所。思ったよりも大規模な遺跡が残っているんだけど、ちょっと地味なためか家族の反応がいま一つだったので、早々に退散。

フォロ・ロマーノ

古代ローマの政治・宗教の中心地。パラティーノの丘と同様に今や完全に廃墟化しているんだけど、こっちのほうは神殿の円柱なんかが残っているせいもあってちょっと派手目。観光客も沢山いる。アントニヌスとファウスティーナの神殿、セプティミウス・セヴェルス帝の凱旋門ヴェスパシアヌスの神殿等々見どころが多いが、これらをどのくらい楽しめるかは見る人の思い入れの程度に完全に依存するところ。何年か後、子供達が“そういえば、みんなであそこに行ったなあ”って楽しく思い出してくれれば嬉しいです。


ここでお昼近くになったので、市庁舎のわきを通ってカピトリーノの丘に登り、カピトリーノ美術館の中にあるレストランで昼食にした。

カピトリーノ美術館

昼食目当てで入ったんだけど、出てきたピザは冷凍もの。そのかわりレストランの横に広いテラスがあり、ここからの眺めは料理よりずーっと良い。
昼食後、有名なブロンズ像「カピトリーノの雌狼」やカンピドーリオ広場の中央にある「マルクス・アウレリウス帝の騎馬像」のオリジナル等々を見学。この美術館は地下で隣の美術館と繋がっており、気力と体力が許せば他にいくらでも見物はあるんだろうが、今日のところはここまで。


子供たちはもう飽きてきたようなんだけど、まだまだ集合時刻までに時間があるため、俺のリクエストでトライアヌス帝の円柱を見るためにフォロ・トライアーノへ。その後、先にホテルに帰っているという長男と別れ、ヴィットリオ・エマヌエーレ2世記念堂に行ってみた。

◎フォロ・トライアーノ

ムッソリーニが造ったフォーリ・インペリアーリ大通りによりフォロ・ロマーノから切り離されてしまったような遺跡。左右にフォロ・ディ・チェーザレトライアヌスの市場という遺跡があるんだが、どれも工事中で中には入れない。しかし、手前に連絡通路のような広い足場が組まれており、この上から十分見学可能。もちろん、トライアヌス帝の円柱も良く見えた。

◎ヴィットリオ・エマヌエーレ2世記念堂

ヴェネツィア広場にあるやたらと迫力のある建物であるが、当日、建物の中央部が改修中のため幕に覆われていたのは御愛嬌。フォロ・ロマーノを後ろに従えているような感じで建っているのは、古代ローマ派の俺にはちょっと気に入らない。妻が屋上までのエレベーターを発見したので、さっそく登ってみると見事にローマ市内が一望のもとに。イタリア旅行最後の良い思い出になりました。


集合時刻にはまだ間があるものの、娘もそろそろ体力の限界のようなので、ヴェネツィア広場のタクシー乗り場からホテルへ戻る。先に戻っていた長男から近くのスーパーで買い物をしてきたとの話を聞き、ヒマ潰しに行って飲み物やスナック類を買ってくる。

そうこうしている間に出発時刻になり、バスに乗り込み1時間くらい走って空港へ。出国手続きや最後の無駄遣いを終え、予定どおりに日本に向けて出発した。
楽しみにしていた機内の映画の方は、何と来たときと同じメニューでちょっとがっかり。やむを得ず、先行上映の「Fracture」と「Next」という作品を寝ぼけ眼で鑑賞した。前者はアンソニー・ホプキンス主演の法廷物だが、知能犯に扮した彼を追い詰める検事役の若い男優さん(=ライアン・ゴスリングという人)がなかなか魅力的で、脚本も悪くない。後者はフィリップ・K・ディック原作のSF物で、ニコラス・ケイジがなんと2分先の未来が見えるという超能力者になるんだが、こっちは全くの駄作。ディック作品の映画化は少なくないが、彼の作品が持つ“迫真のバカバカしさ”を再現することに成功したのは「トータル・リコール(1990年)」くらいかなあ。