少佐と少女

1942年作品
監督 ビリー・ワイルダー 出演 ジンジャー・ロジャースレイ・ミランド
(あらすじ)
大都会の生活に嫌気がさしたスーザン・アプルゲイト(ジンジャー・ロジャース)は、故郷に帰ろうとしたものの汽車賃が値上げになっていたため切符を買うことができない。困った彼女は12歳の少女スースーになりすましてなんとか列車に乗り組むが、途中、車掌にバレてしまい、カービー少佐(レイ・ミランド)の個室に逃げ込むが….。


ビリー・ワイルダーの監督デビュー作。

スースーの乗り込んだ列車は、途中、河川の増水により立ち往生してしまい、彼女はカービー少佐の勤務する兵学校に連れていかれることになるんだが、何とも色っぽい少女になりすました彼女はそこでも生徒たちに大モテ。ジンジャー・ロジャースが、彼等の猛アタックに困惑する様子がなかなか楽しい。

また、列車の中でタバコを吸っているのを車掌に見つかりそうになったシーンで、彼女が吸っていたタバコを口の中に隠してしまう早業はなかなかお見事だし、別のシーンではサービスでちょっとだけタップダンスも見せてくれたりする。

まあ、画面で見ていても、当時30歳を超えていたジンジャー・ロジャースが12歳の少女になりすますというのは相当な荒技であり、それをカービー少佐をはじめとして(1名を除き)誰も気がつかないという設定は、正直、苦しいところではあるが、そこは所詮コメディということで単純に楽しむのが正解。

相手役のレイ・ミランドも、いつものちょっと癖のあるキャラクターとは全く違ったとても人のいい教師役を好演。かなり微妙な“美少女”を目の前にして、あんなに屈託のない笑顔を見せてくれるなんて、ちょっと意外でした。

監督デビュー作の上、日本未公開ということもあって、当初、出来の方をちょっと心配していたんだけど、そこのところは流石ワイルダー、全くの杞憂であり、全体的にとても良くまとまったコメディだった。今リメイクしても十分に面白いと思う。

それと、個人的には、著名なユーモリストであるロバート・ベンチリーの御尊顔を拝見できたことも、とても嬉しかったです。