時をかける少女

2006年作品
監督 細田守 声の出演 仲里依紗石田卓也
(あらすじ)
紺野真琴仲里依紗)は、男友達の功介や千昭(石田卓也)と楽しい学園生活を送っている高校2年生の女の子。ひょんなことで身に付けたタイムリープの能力を他愛のないことに使って面白がっていたが、ある日、千昭から突然交際を申し込まれて動揺。今までのお気楽な関係を続けたい彼女は、タイムリープの能力を駆使してその申込みがなかった“現在”をつくりだすが、それには意外な影響が….


俺と「時をかける少女」との馴れ初めは、1972年の TVドラマ「タイムトラベラー」が最初。その後、その原作である筒井康隆の小説を読み、また1983年に原田知世主演で映画化された作品も見ている。この中では、時期的に一番新しいこともあって、知世ちゃんの「時をかける少女」が一番記憶に残っている訳であるが、記憶を失ったはずの芳山和子が“誰か”を待ち続けるという相当にせつないラストが何とも印象的であった。

で、それから23年たって制作されたこのアニメ作品は、なんとその芳山和子の姪が主人公。しかも、作中、伯母役で出てくる和子から“私は待つタイプだけど、真琴ちゃんは迎えに行くタイプでしょ”といわれるように、とても元気で前向き。作品の前半は、そんな彼女のユーモラスな学園生活が生きいきと描かれており、とても楽しい。

後半になると、まあ、時間もののお約束ということで、未来人であるボーイフレンドとの初恋にはやっぱり悲しい結末が待っている訳なんだけど、芳山君のときとは異なり、今回はちゃんとお互いの気持ちを確認できた上での“納得できる別れ”ということもあって、いっそ清々しい感じ。おかげで、見ているこっちまで23年ぶりにスッキリした気分にさせてもらい、大満足といったところです。

貞本義行の手によるキャラクターデザインは、最初はフツーすぎて面白みに欠ける印象があったのだが、見ているうちにちゃんとそれぞれに存在感を持ってくるというのは、やはり凄いことなんだろう。それと、2Dにもかかわらず、人物が背景から浮き上がって見えるような奥行きのある作画法もとても新鮮でした。

監督の細田守とはこの作品で初めてお目にかかった訳であるが、なんか才能ある人みたい。今度、娘と一緒に前作の「ワンピース オマツリ男爵と秘密の島(2005年)」でも見てみよう。