蟲師

ウチの妻と娘はオダギリジョーのファン。以前NHKでやっていた「新撰組!」の斎藤一役でハマッたらしいんだが、そんなことで、さっそく彼が主演する「蟲師」を家族で見てきた。

で、感想だけど、一言でいってつまんなかった。監督が大友克洋ということでちょっと心配だったんだけど(注:映画版「AKIRA」までの大友さんは大好きです。)、残念ながらその心配が的中したって感じかなあ。今回、他人の漫画を映画化した訳だけど、その動機というか、どのへんを観客に訴えたかったのかが良くわからなかった。

時間配分等から考えて、ギンコとその育ての親であるぬいとの関係というのが、多分、一番重要な部分なんだろうと思うんだが、結局、ここで大友さんが何を言いたかったんだか俺にはさっぱり解らない。したがって、この作品の見せ場と思われる巻物の文字が動き出すところとか、虹郎と一緒に虹を見つけるところとかとどんな関係があるのか、あるいは関係がないのかが、やはりまったく解らない。

それと、途中でギンコは蟲の毒(?)に冒され、その後虹郎と旅を続けるうちに次第に元気を取り戻すっていうエピソードがあるんだけど、このくだりにどういう意味があるのか、これもさっぱり解らない。

そんな訳で、期待のオダギリジョー自身、ギンコ役をどうやって演じたらいいのか解らず、戸惑っているような印象だった。一方、淡幽役の蒼井優は、出番は少ないものの着物姿がとても可愛らしく、これがこの作品のせめてもの救いでした。

見終わってからの妻と娘の感想も否定的。彼女たちは原作の漫画も読んでいたんだが、それとは随分印象が違っていたようでした。なお、娘から作品のラストの解釈について意見を求められたため、“行方不明となったギンコ(さらにいえば、死んでしまった我が子)の代わりに村の子供を攫ってきては殺してしまうようになったぬいを哀れに思い、ギンコが安楽死させてやったのではないか”という見解を咄嗟にでっちあげたのだが、これで良かったのかな。