天国は待ってくれる

1943年作品
監督 エルンスト・ルビッチ 出演 ドン・アメチージーン・ティアニー

(あらすじ)
天寿をまっとうしたヘンリー(ドン・アメチー)は地獄行きの審査のため、閻魔大王と一緒に自らの人生を振り返ることになる。生前のヘンリーは無類のプレイボーイであり、従兄弟の婚約者のマーサ(ジーン・ティアニー)を横取りするようにして結婚するが、その後も彼の女性遍歴はいっこうに止むことなく、遂に彼女は離婚を決意する....


ルビッチの作品を観るのは、「ニノチカ(1939年)」、「街角桃色の店(1940年)」に続いてこれで三本目。もっと観たいのだが、なかなかDVD化されないのが残念。

さて、映画はヘンリーが閻魔大王に会うところから始まるのだが、美脚自慢のばあさんやフランス人のメイドのくだりなど、出だしはまことに快調。その後、ヘンリーの誕生日(=マーサとの結婚記念日)ごとに、その日に起きた様々なエピソードを紹介しながら彼の人生が語られるのだが、各エピソードが細切れであまり印象に残らない。やはり、彼が地獄に落とされるに至ったことを観客に納得させるような大ネタがないのは、この映画の弱点だと思う。また、閻魔大王との会話部分が最初と最後にしか出てこないので、せっかくの設定が活かされていない。脚本は、名パートナーだったサムソン・ラファエルソンだったのになぁ。

ということで、あまり高い点数は差し上げられないが、最後までまったりと観られるのは流石ルビッチといったところか。ドン・アメチーの嫌みのないプレイボーイぶりは流石。ジーン・ティアニーは「幽霊と未亡人(1947年)」以来二度目のお目見えで、こういう役にはピッタリだが、ちょっと出番が少ないと思う。病気になったマーサをヘンリーが心配するようなエピソードを入れておけば、最後のオチにももっと納得がいったかもね。