シンデレラマン

2005年米作品
監督 ロン・ハワード 出演 ラッセル・クロウレネー・ゼルウィガー

(あらすじ)
将来を嘱望されていたプロボクサー、ジム・ブラドック(ラッセル・クロウ)は、世界タイトルマッチへの挑戦に失敗した後、低迷が続き、右手の骨折というアクシデントも重なって、ついにはボクサーのライセンスを剥奪されてしまう。おりしも世は大恐慌のまっただ中。妻(レネー・ゼルウィガー)と3人の子供を抱え電気料金も払えなくなってしまった彼に、見かねた元マネージャーがお情けで一夜限りの代役の話を持ってくる。そして、ここからジムの新たな戦いが始まる!


これも実話だそうだが、職人ロン・ハワードは見事なヒューマン・ドラマにまとめている。ライセンスを剥奪された後のジムの不遇時代の描写に相当時間を割いており、飢えからサラミを盗んだ息子に対し、人間としてのプライドを持ち続けることの大切さを示した彼が、子供たちと一緒に暮らすために昔の仲間たちに金を恵んでもらいに行く場面は、ちょっと痛ましい。まぁ、その間、妻の方は子供と一緒に看板に使ってあった材木をかっぱらってきて薪にしちゃったりするんだけど、そこはレネー・ゼルウィガーのお人柄もあって全然許せてしまう。

それと、これは「ミリオンダラー・ベイビー(2005年)」を観たときにも感じたんだけど、なんで最近の映画の中のファイトシーンって、こんなにリアルなんだろう。特に、この映画ではジムの世界ヘビー級タイトル挑戦試合がクライマックスになるので、けっこう長時間ラッセル・クロウのファイトシーンを映すんだが、これが十分鑑賞に耐えうる水準になっている。あれって本当に殴っているように見えるよね? それとも、CGかなんか使ってんのだろーか? 過去のボクシング映画では、ドラマの部分は良くても、ファイトシーンで萎えるという作品が多かったので、これは本当に嬉しい。

という訳で、まぁ、ちょっとストーリーは単純(一度落ちて、また上がるだけ!)ではあったが、その分、破綻もなく、最後のハッピーエンドまで十分に楽しめた。アカデミー賞的には、重いテーマを持った「ミリオンダラー・ベイビー」のほうが上なんだろうけど、俺としてはこっちが好き。マネージャー役のポール・ジアマッティは儲け役であるが、なかなか良い味を出している。覚えておこう。