三岩岳

今日は、福島県会津にある三岩岳を一人で歩いて来た。

せっかくの紅葉シーズンであるが、先日の燧ヶ岳の余韻にもう少し浸っていたいらしい妻は“ロングコースは不可”だそうであり、やむなく単独行での適地を検討。本当は南八ヶ岳あたりが良いのだが三連休の中日ということで混雑は必至であり、駐車場確保の容易さを重視して南会津の比較的マイナーな山に白羽の矢を立ててみた。

さて、小豆温泉スノーシェッドのすぐ先にある駐車場には念のため午前6時前に着いたのだが、すでに7、8台の車が止まっており、意外に人気があるんだなあ。出発の身支度を整えていると間違えて調子の悪い方のZEN Stoneを持ってきてしまったことに気付くが、まあ、これだけ人がいればiPodでも大丈夫だろうということで、最初からヘッドホンを装着して5時59分に歩き出す。

国道352号線を少しだけ引き返すと道の左側に“第50回国民体育大会山岳縦走競技コース”の看板(6時4分)が立っており、ここが三岩岳への登山口。この先からしばらく“急登”が断続的に現れるが、事前学習で心の準備は出来ているので無問題。妻直伝の急がず休まずペースでじめっとした土の斜面を黙々と上っていく。

しばらくすると右足の踵に違和感があるので、何度か靴紐を緩めて靴下のシワを伸ばしてみたがなかなか改善が見られない。仕方がないので黒檜沢コースへの分岐(7時14分)を過ぎたところで靴を脱ぎ、踵の状態を調べてみると赤い靴擦れが出来かけている。今日履いてきたのは履き慣れた古い方の山靴であり、この靴で靴擦れするのだからよほど足の皮が薄くなっているのだろうと日頃の怠慢を反省しつつ、バンドエイドで応急処置をした。

さて、高度が上がるにつれて紅葉の色付きも濃くなっていくが、正直、期待したほどの鮮やかさには達しておらず、時期的にちょっぴり早かったのかもしれないなあ。木道の敷設された小さな湿原(8時25分)を横切ると避難小屋はもうすぐであり、8時29分に到着。小屋の前のベンチに座って本日一回目の休憩をとった。

避難小屋から山頂までの道はほとんどグズグズに泥濘んでいるか、石がゴロゴロしているかのいずれかであり、気持ち良く歩けるところはあまり出てこない。しかし、見晴らしだけは次第に良くなってきたので、周囲の山々をのんびり眺めながら9時12分に山頂(2065.2m)到着。ここまで何組かの登山者に先を譲って頂いたおかげで、さして広くない山頂には他に誰もいなかった。

山頂からは残雪期にしか歩けない会津駒ヶ岳へと続く緩やかな稜線を一望することが出来、その向こうには燧ヶ岳の片耳がピョコンと飛び出ている。体力的には会津駒ヶ岳までなら何とか歩けそうな気もするが、誰かのトレースが残っていないとちょっぴり不安であり、う〜ん、いつか挑戦してみようかなあ。

さて、気温が上昇してしまったので持参したカップ麺には手を付けず、2番目の登山者が到着したのを機に再出発(9時31分)。避難小屋(10時00分)前の分岐を左に入ってからも地面はグズグズ、ゴロゴロの繰り返しであり、歩きにくいったらありゃしない。しかし、窓明山との鞍部に近付くと状況は一気に改善し、見晴らしの良い素敵な縦走路へと大変身。

せっかくなので大きめの石に腰を下ろして周囲の景色を楽しんだ後、草紅葉のきれいな小さな湿原(10時25分)を越えて10時59分に窓明山(1842.5m)。直接こちらに上ってきたという先行者の方のお話しによると、途中、黄色の紅葉が素晴らしかったとのことであり、ちょっぴり期待に胸を膨らませて少し戻ったところにある分岐を左に入る。

10分くらい歩いていくと黄色に染まった家向山へのルートを見下ろせるようになり、そこに向って一気に下りていく。周囲は次第に輝くような黄色の紅葉に包まれていき、美的感覚の鈍い俺でも時々足を止めずにはいられない。計画段階では退屈な下山路としか考えていなかったが、本日のクライマックスはこっちだったんだなあ。

その後、ちょっぴり骨の折れる家向山への上り返しを済ませて11時57分に“家向山尾根”の標識の立つ所。さすがに疲れてきたので時々休憩を挟みながら歩いて行くが、巽沢山(1162.2m。12時27分)の前後は疲れた足に優しい緩やかな斜面であり、これは助かると喜んでいると最後は国道(13時6分)に向って急降下。13時16分に駐車場まで戻ってきたが、本日の総歩行距離は15.9kmだった。

ということで、途中までちょっぴりモヤモヤした感じだったものの、窓明山〜家向山間の素晴らしい紅葉のおかげで一気に気分爽快。もし、紅葉の時期に妻と再訪するような機会があれば、歩きにくい三岩岳には立ち寄らず、駐車場から窓明山までのピストンにしようと思いました。