白毛門〜朝日岳

今日は、群馬県にある白毛門の周辺を歩いてきた。

2年前の7月に谷川岳を訪れたとき、向かい側に聳えるこの山の美しい稜線に魅せられてしまい、いつか歩いてみたいと思っていたのだが、幸運なことに紅葉の期待できるこの時期にチャンス到来。できれば朝日岳まで足を伸ばしたいところであるが、めっきり日の短くなってきた今日この頃、あまり遅くなるのは避けたいということで、午前10時を撤退の目安にして、5時52分に土合橋駐車場を出発する。

東黒沢に架かる赤い橋を渡って登山口に入ると、事前学習のとおり、樹林帯の中に続くルートは次第に傾斜を増していき、それからしばらくはこの状態が継続する。まあ、体力的には決して楽ではないものの、ルートは明確であり、前後に他の登山客の姿を認めることが出来るということで、精神的な不安はまったく感じられない。

7時13分に最初のチェックポイントである松ノ木沢の頭に着くと、それまで木々の間から見えていた谷川岳の全貌が一気に眼前に広がるが、お天気の方は期待したような快晴にはならず、紅葉の見栄えもいま一つといったところ。その先からは、爺岩&婆岩に守られた白毛門の雄姿が一望できるようになる。

山頂手前のロープ場を過ぎたところでは、事前学習のとおり右手にトラバースし、7時45分に白毛門(1720m)到着。しかし、太陽は雲に隠れたままであたりは薄暗く、天気が崩れる前に行ける所まで行ってしまおうと、休まずに歩き続ける。ここまで、遅い人は追い越させていただいた一方、早い人には追い付けないということで、周囲の人影はめっきり少なくなる。

誰もいない笠ヶ岳山頂(1852.1m)に着いたところで時刻を確認すると、まだ8時26分。依然として太陽は顔を見せてくれず、風も強くなってきたが、撤退の目安である10時までには十分余裕があり、目の前に連なる山々の稜線の魅力には抗い難いということで、再びノンストップで朝日岳へと向かう。

山頂のすぐ先にある避難小屋(8時28分)を過ぎ、一つ目のピークに上ったところでようやく目指す朝日岳の姿を視認できるようになるが、あいにく山頂にはガスがかかっているようでテンションは下降気味。しかし、ここまで来て引き返す訳にはいかず、山頂近くの大岩を左に巻くようにして、9時15分にようやく朝日岳(1945m)に到着する。

当然、無人の山頂はガスに包まれており、その先にある湿原の様子がかろうじて一部見えるくらいの状態。とりあえず、山頂を示す標識の立っている場所よりちょっとだけ高そうな石の祠の所まで移動し、強風を避けながら本日初めての休憩を取る。

しばらくすると、相次いで2人の登山客が上ってきたので、山頂を彼等に譲り渡して再スタート。例によって、帰りは往路を戻るだけであるが、笠ヶ岳(10時10分)に着く前の頃から天候が一気に回復し、薄暗かった周囲の雰囲気も一変する。白毛門の山頂(10時44分)で美しい山並みを眺めながら2度目の休憩を取った後は、見事な紅葉の中へ下りていくような感覚で松ノ木沢の頭(11時21分)を過ぎ、12時34分に駐車場まで戻ってきた。

ということで、白毛門は俺の目標の一つである谷川岳馬蹄形縦走のスタート(又はフィニッシュ)地点であり、今回、朝日岳までの往復(=距離にして12.5km)を6時間42分で歩くことが出来たのは、その目標達成に向けて大きな自信になりました。(ところが、その翌日、久しぶりに両太腿の筋肉痛に悩まされることになり、一夜にして自信喪失。やはり馬蹄形縦走はそう簡単にはいかないようです。)

 エリン・ブロコビッチ

2000年作品
監督 スティーヴン・ソダーバーグ 出演 ジュリア・ロバーツアルバート・フィニー
(あらすじ)
3人の子持ちであるエリン(ジュリア・ロバーツ)は無職のシングルマザー。交通事故の賠償金を得るために弁護士のエド・マスリー(アルバート・フィニー)に依頼して訴訟を起こすが、法廷での彼女の暴言が原因となって敗訴。困った彼女は、エドワードの弁護士事務所に押しかけ、何とか事務員として雇ってもらえることになるが、ふとしたことから、そこで大企業による環境汚染の事実に気付く….


主演のジュリア・ロバーツが第73回アカデミー主演女優賞に輝いた作品。

法律に関しては全くの素人である女性エリンが、六価クロムによる広範囲な地下水汚染を引き起こした大企業を相手に集団訴訟を起こし、巨額の和解金を勝ち取るという、実に単純かつ痛快なストーリーであるが、驚いたことに本作は実話に基づいているそうであり、DVDの特典映像には実在するエリン・ブロコビッチご本人へのインタビューなんかも収録されている。

まあ、“実話”ということに関しては、ストーリーに説得力を持たせるという利点がある反面、脚色の自由度が相当程度制限されるという弱点を伴う訳であり、フィクションであれば当然ストーリーに大きく関わってくると思われる大企業による妨害工作みたいなものは、本作にはほとんど登場しない。

その代わりに本作で大きく取り上げられているのは、主人公エリンのユニークなキャラクターであり、その悪趣味一歩手前みたいな派手なファッションと口の悪さは天下一品。この役柄を、公開当時33歳と、プロポーション的には下り坂に差し掛かりつつあったであろうジュリア・ロバーツが体当たりで演じているのだが、ハイヒールでの歩き方一つを見ても、ハリウッド女優の片鱗も感じさせないくらい庶民的(?)であり、彼女のアカデミー主演女優賞は決して伊達ではなかったと思う。

また、相手役であるアルバート・フィニーのベテランらしい受けの演技も素晴らしく、その懐の広さが本作の心地よい緩衝材になっている。実をいうと、スティーヴン・ソダーバーグが監督を務めていることについてはクレジットを見るまで知らなかったのだが、彼がこんなに器用な人だというのはちょっと嬉しい驚きであった。

ということで、Sheryl Crowの“Everyday Is a Winding Road”で幕を閉じる本作はとても爽快な娯楽映画になっている訳であるが、我が国では実際に起きた公害問題をこんな風にさらっと映画化できるとはとても思えず、このへんの差は一体何なんだろうとちょっと悩んでしまいました。