外人部隊

1933年作品
監督 ジャック・フェデー 出演 ピエール・リシャール=ウィルム、マリー・ベル
(あらすじ)
名門マルテル家出身のピエ−ル(ピエール・リシャール=ウィルム)はフローランス(マリー・ベル)に首ったけ。勤め先の金を使い込んでまで彼女に貢いできたが、それがバレてフランスに居られなくなるとあっさりフラれてしまい、単身モロッコへ渡る。そこで外人部隊に入隊した彼は、酒と女に溺れる日々を過ごすが、そんなある日、フローランスにそっくりの女イルマに出会う….


ジャック・フェデー&フランソワーズ・ロゼーのコンビによる三部作の第一作目。

そのフランソワーズ・ロゼーが演じているのは、外人部隊に入隊したピエ−ルが定宿とする宿屋兼酒場の女将ブランシュであり、結婚はしているものの子供はいない(らしい)という設定をはじめ、「ミモザ館(1934年)」で彼女が演じていたルイーズの役どころと共通する点が少なくない。

ピエールとの関係も、決して男と女の関係という訳ではなく、どちらかというと母子関係に近いような印象を受けるのだが、イルマに手を出そうとした自分の亭主をピエールが誤って殺してしまったときには、躊躇することなくピエールを庇う方の側に立っており、ルイーズ同様、彼に対する愛情の中には女としてのそれが少なからず混在しているような気がした。

本作のヒロインは、当然、フローランスとイルマの二役を演じるマリー・ベルの方なのだが、派手好きの悪女フローランスと娼婦上がりではあるが意外に家庭的なイルマのイメージが両極端すぎるため、かえってマリー・ベルの個性は薄まっており、ラストシーンでもブランシュに出番を奪われてしまっていることもあって、見終わってみるとフランソワーズ・ロゼーの印象の方が強く残っている。

実は、ジャック・フェデーとフランソワーズ・ロゼーとは実生活における夫婦同士であり、このへんの観客に与えるイメージがあらかじめ仕組まれたものなのだとすれば、マリー・ベルには大変お気の毒としか言いようがない。

ということで、本作における成功が次の「ミモザ館」の製作に強い影響を与えていることはまず間違いのないところであり、40代という年齢にもかかわらず、フランソワーズ・ロゼーはその作品で見事主演女優の座を手にすることになります。