making of LOVE

2010年作品
監督 古澤健 出演 藤代さや、川上洋一郎
(あらすじ)
映画監督のふるさわは、愛をテーマにした映画の制作に着手するが、彼の周囲にいるスタッフは男ばかりであり、肝心の主演女優が見つからない。最初、主演の翔太(川上洋一郎)の恋人であるなつみに声をかけるが、ふるさわのセクハラもどきの言動が原因で上手くいかず、困った彼等は、以前街中で撮影中にすれ違ったビデオカメラを持ち歩く美女ゆかり(藤代さや)に目を付ける….


一部で話題になっていた“青春H”シリーズの第1弾。

ゆかりがビデオカメラを持ち歩いているのは、彼女が付き合った男のことを記録として保存しておくためなのだが、そのビデオに写っていた男の一人は彼女のことを全く知らないと言い張る。また、翔太も小学生の頃に不思議な体験をしており、そんなことがきっかけで二人は意気投合するが、仲間外れにされた格好のふるさわは面白くない。

前半は、このゆかり、翔太、ふるさわによる三角関係が中心になってストーリーが展開していくのだが、ゆかりの前で翔太の悪口を言ってまで彼女の気を惹こうとするふるさわの必死さがちょっと痛すぎて、なかなか笑うに笑えない。おそらく、彼が映画監督をやっている動機の90%くらいは女にモテたいからなんだろうなあ。

後半もこんな感じで青春のせつなさみたいなものを描いて終わるのだろうと思って見ていると、ゆかりが撮りためておいたビデオの中に小学生の頃の翔太が写っているのが見つかるあたりから、ストーリーは突如SF方面へ急旋回。しかも、終わってみれば、これが見事に“愛をテーマにした映画”に仕上がっていたのには思わず感心してしまった。

まあ、学園祭かなんかの会場で本作を見ていたら間違いなく大絶賛していたところなんだろうが、問題なのは、この作品の面白さが“安っぽさ”や“素人臭さ”といった様々なエクスキューズ抜きに成立するのかという点であり、ハリウッド映画に毒された俺としては、是非とも予算を100倍くらいにして本作をリメイクして欲しいと思う。

ということで、古澤健の作品を見たのはこれが初めてであるが、監督、原案、脚本、編集ばかりでなく俳優としてコメディリリーフまできっちり務めた彼の活躍ぶりはなかなか大したものであり、立派な監督に育って欲しいものです。