張り込み

1987年作品
監督 ジョン・バダム 出演 リチャード・ドレイファスエミリオ・エステヴェス
(あらすじ)
警察官殺しの罪で服役中の凶悪犯が脱獄し、刑事のクリス(リチャード・ドレイファス)とビル(エミリオ・エステヴェス)の二人は、別のコンビと交替で、その脱獄犯の元恋人であるマリアの家を監視する任務に就く。しかし、電話機に盗聴器を仕掛けるため、電話局員になりすまして彼女の家に乗り込んだクリスは、美人で気立てのよさそうなマリアに対して好意を抱いてしまう….


リチャード・ドレイファスが「スタンド・バイ・ミー(1986年)」の翌年に主演した作品。

肝心の脱獄犯の方はなかなか姿を現さず、その間にクリスはスーパーで買い物をしていたマリアに偶然再会。このことがきっかけとなって二人の仲は急速に接近し、遂には彼女の家で一夜を過ごしてしまうのだが、これが張り込みを続けていた別のコンビに見つかってしまい、脱獄犯と間違われたクリスはパトカーに追われる羽目に・・・

こんな具合に、アクション、ロマンスそしてコメディが一体となったサービス満点の娯楽作品なんだけど、それらのバランスがとても上手く取れており、ジョン・バダムの小気味良い演出のおかげもあって、なかなかの佳品に仕上がっている。

まあ、現実の世界では、張り込み中の刑事がその相手に素顔を晒すなんてことはあり得ない筈であり、本作のような場合、おそらく別の警察官が電話局員になりすまして相手と接触することになるんだろうが、脚本が上手く出来ているので、見ている間は何の疑問も湧いてこない。

主演のリチャード・ドレイファスは、決してカッコ良くはないんだけれど、どこか憎めないキャラを巧みに演じており、このへんは流石に上手いもの。相棒役になるエミリオ・エステヴェスは、クリスとは対照的に真面目で家庭的なキャラに扮しているのだが、出番があまり多くないのが残念。また、本作がデビュー作というマリア役のマデリーン・ストーは新人らしからぬ存在感を示しており、なかなか魅力的でした。

ということで、冴えない邦題も含めて本当にどうっていうこともない作品なんだけど、あまりお金をかけなくても、上手い脚本と良いスタッフに恵まれればこんなに楽しい作品が作れるということを再認識させてくれる作品であり、このような作品が我が国でも年に2、3本のペースで出てくるようになれば、昨今の“邦画ブーム”も本物と言えるのでしょう。