東吾妻山とチングルマ

今日は、妻と一緒に福島県の東吾妻山周辺を歩いてきた。

一切経山チングルマが満開というレポートを複数拝見し、8年ぶりに後追いさせてもらおうと思ったのだが、調べてみると「老朽化した階段の改修工事」のために吾妻小富士は歩くことが出来ないらしい。仕方がないので代わりに東吾妻山を予定に加えてみたものの、現地で妻からドタキャンされる可能性は否定できず、どうなることかと思いながら午前7時頃に浄土平駐車場に到着する。

身支度を整えて7時14分に歩き出す。しばらく歩いて行くと一切経山と姥ヶ原の分岐(7時25分)に着くが、ここで一計を案じて姥ヶ原方面へ直進。つまり先に東吾妻山を歩いてしまおうという作戦であり、これならドタキャンの心配は無用だろうとほくそ笑みながら、階段状のルートをのんびりペースで上って行く。

雲の合間から顔を出した陽の光は意外に強烈だが、姥ヶ原の湿原には涼しい風が吹いており、これがなかなか良い気持ち。お目当てのチングルマはやや見頃を過ぎており、花弁を落としてしまったものも目立つが、まあ、全体的に見ればまだ十分魅力的であり、幸福な気持ちになって8時14分に着いた姥ヶ原の十字路を東吾妻山方面に左折する。

東吾妻山への登山道は樹林帯の中に続いており、そのなだらかな山容といい、一切経山とは大違い。特に見晴らしがほとんど無いところが大きなマイナス点であり、当初の計画どおり一切経山の後に歩いていたら妻から苦情が出ていたかもしれないなあ。しかし、8時59分に着いた山頂(1975.1m)は見事に開けており、そんなマイナス点を完全に帳消しにしてくれる程の大展望!

残念ながら猪苗代湖は雲の下に隠れていたものの、磐梯山西吾妻山桧原湖といった馴染みのある景色を眺めながら食べるおにぎりの味は格別であり、やっぱり来て良かったね。それにしても、ここから見える西吾妻山までは相当距離があるようであり、吾妻山全体のスケールの大きさにちょっぴり驚かされる。

さて、9時25分に下山に取り掛かり、10時ちょうどに姥ヶ原の分岐まで下りてくる。再びチングルマを愛でながら木道を進んで行くことになるが、こちらでは一足早く羽毛状になったものまで見ることが出来、花のサイクルを一日で観察できてしまうのがちょっと面白い。そんなことを妻と話しながら鎌沼の周囲をのんびり歩き、10時24分に酸ヶ平の分岐に着く。

幸い妻からのドタキャンの申し出は無いようであり、そのまま一切経山へと続く石のゴロゴロした斜面を慎重に上り、11時15分に山頂(1948.8m)に到着。着いたときには薄いガスに包まれていたが、大きめの石に腰を下ろして休んでいると次第にガスが晴れて行き、無事、美しい“魔女の瞳”と再会することができた。

11時49分に二度目の下山に取り掛かると、後はもう駐車場まで下って行くだけであり、刻々と変化する吾妻小富士のクレーターの様子を眺めながら姥ヶ原への分岐(12時25分)~浄土平湿原の木道と歩き、13時9分に駐車場まで戻ってくる。本日の総歩行距離は10.5kmだった。

ということで、先に東吾妻山を歩いてしまうという作戦は大成功であり、ドタキャン対策だけでなく、最後まで退屈すること無く周回コースを楽しむことができる。せっかくの温泉地にもかかわらず、日帰り入浴を自粛せざるを得なかったのが唯一の心残りだが、まあ、その気になればいつでも再訪できるエリアであり、コロナ禍が収束する日を首を長くしてお待ちしたいと思います。
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