魔女がいっぱい

今日は、妻&娘と一緒にロバート・ゼメキス監督の「魔女がいっぱい」を見てきた。

先日の「ムーラン(2020年)」同様、米国でネット配信のみになってしまった作品であるが、幸いこちらは海外に限り映画館での上映がOKになったらしい。そんな訳で米国における興行成績は不明であり、前評判もほとんど伝わってこないが、まあ、主演のアン・ハサウェイの美貌を拝むだけでも十分元は取れるだろうと思いながら映画館へ向かう。

さて、内容はロアルド・ダール原作によるコメディタッチのダーク・ファンタジーであり、交通事故で両親を失ってしまった黒人少年が、おばあちゃん(オクタヴィア・スペンサー)や白ネズミのデイジー、食いしん坊の英国少年ブルーノといった仲間たちの助けを借りて、魔女たちの恐ろしい計画を阻止しようと奮闘するストーリー。

面白かったのはラストが二段オチになっているところであり、魔女の毒薬によってネズミにされてしまった主人公の少年たちが、祖母と一緒にネズミとしての残り少ない寿命を全うしようと決意する最初のオチは、ロアルド・ダールらしい奇妙な味の混じったほろ苦いハッピーエンド。

しかし、そのすぐ後に描かれているのは、魔女たちのリーダーであるグランド・ウィッチから奪った莫大な資金と魔女のリストを利用して、世界中に潜んでいる魔女たちを一人残らず退治しようと狂奔する子どもたちの姿であり、その様子は正に“魔女狩り”そのもの。とても皮肉が効いていて思わずニヤリとしてしまったが、こっちのオチも原作に基づいているのだろうか。

ちなみに、その大魔女グランド・ウィッチを演じているのがお目当てのアン・ハサウェイであり、美しい化粧の下に隠されているのは耳元まで裂けた大きな口。その上、大嫌いな子どもの臭いを嗅ぎ分けるときには鼻の穴まで巨大化してしまうのだが、今年38歳になったアン・ハサウェイはそんな悪役をとても楽しそうにノリノリで演じており、まずは期待どおりの怪演であった。

しかし、同じロアルド・ダールの原作をティム・バートンが監督した「チャーリーとチョコレート工場(2005年)」と比べると、思ったより悪ふざけの部分が少ないところがちょっと残念。最後の二段オチを除くと、子ども向けのバカ話を“正攻法”で映画化してしまったという印象であり、う~ん、ロバート・ゼメキスって意外に真面目な人なのかもしれないね。

ということで、当然、原作では英国が舞台になっているのだろうが、それを米国の黒人少年を主人公にした内容にアレンジしているのは最近の流行なのかしら。「アス(2019年)」を見たときにも思ったが、こういった人種差別を主要テーマにしていない作品で非白人を主人公に起用するのはとても悦ばしい傾向であり、アジア系の俳優さんたちの活躍も期待したいところです。