羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来

今日は、妻&娘と一緒に中国製アニメ映画の「羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来」を見てきた。

コロナ禍の影響で洋画の話題作の公開は延期続きであり、仕方がないのでネット配信の旧作を見て我が身を慰める日々。そんなときに娘が興味を示したのが本作であり、正直、予備知識は皆無だが、まあ、半月ぶりに映画館の雰囲気を味わえるのなら何でもいいや(?)くらいの気持ちで映画館へ向かう。

さて、ストーリーは、森林開発によって住処を失ってしまったネコ型妖精の小黒(シャオヘイ)が、同じ妖精の風息(フーシー)に助けられて彼の仲間に加えてもらうところから始まる。しかし、ホッとしたのもつかの間、風息たちを追ってきた最強の執行人である無限(ムゲン=人間)の手によって小黒は捕獲されてしまう…

どうやら人間対妖精の対立を描いているらしいのだが、何分、登場人物等に関する予備知識が皆無なため、少々理解に苦しむようなエピソードもチラホラ。帰宅後に拝見したWikipediaによると、本作は「2020年1月現在、28話まで公開」されている「Flashで制作された2Dアニメ」の「前日譚(4年前の物語)」にあたるそうであり、そうと知っていれば、小黒と無限がお互いを理解していく過程についてもっと興味深く見守ることができたに違いない。

しかし、日本アニメの影響も少なからず受けていると思われる可愛らしい絵柄は非常に好ましいものであり、正直、並みの米国製2Dアニメなんかよりもずっと親しみやすいんじゃなかろうか。そして、そんな可愛らしい線で描かれたキャラクター同士が物凄いスピードで繰り広げるアクションシーンは絶品であり、昨年見て衝撃を受けた「スパイダーマン:スパイダーバース(2018年)」を思い出してしまった。

また、人間と妖精との共生を願うというストーリーも素直に共感できるものであり、風息の変化した樹木は是非とも公園にして大切に保存して欲しいと思う。残念ながら中国政府による人権軽視とも取れる各種施策には同意しかねる点も多いが、少なくともこんな物語を愛する人々と理解し合うことは十分可能であり、是非とも「Flashで制作された2Dアニメ」の方も長編アニメ映画として公開して欲しい。

ということで、本作における妖精v.s.執行人の対決シーンは、俺の理想とする超能力者同士の戦闘シーンに極めて近しいレベルであり、大友克洋の「童夢」をこんな感じでアニメ化してくれたら物凄い作品になるかもしれない。とにかく、本作にしろ「スパイダーマン:スパイダーバース」にしろ、海外のアニメ技術の進歩には目覚ましいものがあり、我が国のアニメ界もコスパだけを重視していたらアッと言う間に置いて行かれてしまいそうです。