2分の1の魔法

今日は、妻&娘と一緒にピクサーの最新作である「2分の1の魔法」を見てきた。

いつもなら大きな話題になるピクサーの新作であるが、本作の場合、残念ながらコロナウィルスの影響により全米興行成績は尻つぼみに終わってしまったそうであり、我が国での宣伝にもいま一つ力が入らない様子。しかし、映画館で再び注目作品が上映されるようになったのは喜ばしい限りであり、一日も早いコロナ禍の収束を願いながら映画館へ向かう。

さて、ストーリーは、弟が生れる前に死んでしまった父親を魔法の杖を使って一日だけ生き返らせようとするエルフの兄弟の奮闘ぶりを描いているのだが、残念ながら最初の魔法で復活させることが出来たのは父親の下半身だけ。もう一度魔法をかけるためには不死鳥の石が必要であり、二人はそれを求めて大冒険の旅に出る…

舞台になっているのはエルフやユニコーンたちが暮らす魔法の世界なのだが、習得するのに努力や才能を要する魔法はお手軽な科学技術の進歩に伴って廃れてしまい、今では皆が人間社会と同じように暮らしているという設定。そんな中、いまだに魔法の世界に夢中なのが兄のバーリーであり、本人にその自覚はないものの、周囲からは厄介者扱いされている。

一方、弟のイアンは兄とは正反対な内気な少年であり、何かと干渉してくる兄のことを少々煩わしく感じている様子。魔法の世界にも特に興味はないのだが、皮肉なことに亡父の魔法使いの才能を受け継いでいたのはイアンの方であり、バーリーの助言の下、父の遺してくれた魔法の杖を駆使して大活躍!

結局、生き返った父親と再会できたのはバーリーだけなのだが、それはイアンも納得のハッピーエンドであり、新しい恋人のいる母ローレルや写真でしか父親を知らないイアンに比べてみれば、やはり一番父親に会いたかったのはバーリーだったのだろう。直接言及はされていないものの、彼が魔法の世界に興味を持ったのは間違いなく亡父の影響であり、そして今でもそれが忘れられないんだよね。

まあ、そんな訳で相変わらず脚本は良く練られており、大きな不満はないのだが、ちょっと展開がストレート過ぎて遊びが少なかったような気がするのが残念。まあ、お子様向けということを考えれば上映時間の103分を大幅に伸ばすのは難しいのかもしれないが、“魔法が廃れてしまった魔法の世界”という魅力的な設定をもっと活かして欲しかった。

ということで、ちょっと気になってピクサー作品の上映時間を調べてみたのだが、最初の「トイ・ストーリー(1995年)」は81分であり、一番長い「インクレディブル・ファミリー(2018年)」でも118分。その他の作品は全て100分前後に集中しており、どうやらピクサー作品にとって2時間という上映時間は超えてはならない壁になっているみたいです。