ベルリン・天使の詩

1987年
監督 ヴィム・ヴェンダース 出演 ブルーノ・ガンツ 、ソルヴェーグ・ドマルタン
(あらすじ)
天使のダミエル(ブルーノ・ガンツ )の仕事は、壁で分断されたベルリンの街で暮らす様々な人の心の声に耳を傾けることであり、時には思い悩んでいる人の心を軽くしてあげることもあるが、それが必ず成功するとは限らない。そんな仕事に物足りなさを感じていたダミエルは、ある日、同僚のカシエルに人間になりたいというかねてからの望みを打ち明けてみるが、残念ながら理解してもらえない…


10年ぶりにドイツに戻ったヴィム・ヴェンダースが発表したファンタジー映画。

公開当時、相当話題になった作品であり、映画館かビデオかで一度拝見している筈なのだが、正直、ピーター・フォークが本人役で出演していたこと以外、あまり記憶に残っていない。そんな作品がU-NEXTのラインアップに上がっているのを知り、懐かしくなってつい再見してみることにした。

さて、ストーリーは、これなら記憶に残らないのも仕方がない(?)と思えるくらいシンプルなものであり、サーカスの空中ブランコ乗りのマリオン(ソルヴェーグ・ドマルタン)を見初めた天使が、人間に生まれ変わってその恋を成就させるという内容。要するに「リトル・マーメイド(1989年)」みたいなお話なのだが、こちらにはアースラのような悪役は出てこない故、ストーリーはただ淡々と進んでいく。

そんな少々退屈な(?)ストーリーの絶妙なアクセントになっているのが本人役で登場するピーター・フォークであり、特に前半では彼の存在なしに襲い来る睡魔を撃退することは難しかったかもしれない。ヨーロッパ調の白黒の映像はとても美しいのだが、ずっと見ていると飽きてくるし、そこに“異物”として彼が現われてくれると、もう、それだけで周囲の雰囲気が一変するんだよね。

ちなみに、やや下世話だが、本作に登場する天使たちを、“傷つくのを恐れて異性に愛の告白をすることが出来ない人々”の暗喩として見ることも可能であり、その壁を乗り越えることによって画面=世界が白黒からカラーへと変わっていく。おそらく、頑ななカシエル君が心を開くのも、そう先のことではないんじゃなかろうか。

ということで、公開当時に見たときの個人的評価は覚えていないが、本作以降のヴェンダース作品を一本も見ていないことを考えると、あまり芳しいものではなかったのかもしれない。しかし、そんな単調な作品をそれなりに楽しく拝見できるようになったのも老化の良いところの一つであり、また、いろんな作品で試してみようと思います。